補正履歴
履歴の役割と機能
[Advanced History] パレットは [設定] タブの左側のウインドウにあり、画像に対して実行されたすべてのワークステップと補正が表示されます。これには、DxO PhotoLab で画像を開いた日付や最初に適用された自動補正 [DxO 標準] のプリセットも含まれ、時系列の降順に表示されます (直近のステップが一番上)。 これらの情報は、すべて DxO PhotoLab のデータベースにリアルタイムで登録され、ユーザーが操作をする必要はありません。
利用
履歴には様々な利用方法があります。
- すべての画像の全補正を参考のために一覧にする。
- 履歴を比較することで、画像を他の画像と比較する。
- 特定のツールやツールの組み合わせの最適な設定を把握するためなどに、補正の全ステップの適用前/適用後を比 較する。
保存された情報の性質
DxO Advanced History のパレットは、次の情報を保存します。これらの情報はプログラムを閉じる際に保存されます (Macのみ)。
- プログラム内で画像を開いた際の初期設定のプリセットの適用。
- 使用されたサブパレットの名前とステータス (ON または OFF)。
- 使用されたツール名。
- 現在の設定とその前の設定。
- パーソナライズし、リストにまとめられたプリセットの設定 (そのステップの矢印をクリックすると、設定の内容が表示されます)。
ステップ数を制限する (Mac)
DxO PhotoLab のデータベースに保存される履歴には、プログラムの反応スピードに大きな影響を与える情報量が含まれています。 Mac では、 [詳細プリファレンス] の [詳細プリファレンス] タブの [履歴項目] セクションで、ステップ数を制限できます。 初期設定では、入力数は 100 に設定されています。 利用可能な値は 10~無制限です。
履歴機能を使用する
履歴をさかのぼって比較する
特定の補正段階での画像の状態を確認するには、Advanced History パレットの内容をスクロールします。特定のステップをクリックすると、その補正段階の状態へと画像が戻り、関連するサブパレットとツールには、その段階で適用されていた設定と値が表示されます。 前後の段階をクリックしたり、特定のツールの異なるステップをさかのぼったりすると、ビューアーでリアルタイムでその段階の画像を確認できます。
履歴の消去
履歴の 1 つまたは複数のステップだけを消去することはできません。 なぜなら、各補正はその他の補正に関連して実行されているからです (たとえば、ホワイトバランスを調整してから色の補正している場合、ホワイトバランスのステップを削除しても意味がありません)。
特定の補正を再調整したい場合、対象のツールで調整や値を変更します。 この場合、このアクションが履歴リストの一番上に表示されます。
また、履歴全体を削除することは可能です。 履歴パレットの一番下で、 [履歴をクリア] をクリックします。 「この操作は、やり直しがききません。実行しますか。」というメッセージで [はい] をクリックすると、パレットの内容が空になり、 [消去済みの履歴] というス テップだけが表示されます。
重要: 履歴を削除しても、補正や設定が削除されたり、リセットされることはありません。
もちろん、履歴を削除した後も、新しい補正を画像に適用すると、新たな履歴が保存されます。 その場合、履歴に表示されるステップと値は、このアクションから再スタートします。
プリセットの適用
DxO PhotoLab プリセットについて
プリセットでは DxO PhotoLab 内の画像に一度にすべての補正を適用できます。 プリセットによく使う補正項目を保存しておくことで、簡単に補正項目を適用することができます。
DxO PhotoLab には大きく 2 種類のプリセットがあります。
- フルプリセット: [設定] タブの画面で設定可能なすべての補正項目を含みます。これには、パラメータを定義して有効になっている項目、無効になっている項目があります。 DxO PhotoLab にはデフォルトで [DxO 標準] と [補正なし] の 2 種類のフルプリセットがあります。
- 部分プリセット: 利用可能なプリセットのうち、限られたプリセットだけが含まれます (一部のパレットのステータスが変更されますが、他の項目は変更されません)。
DxO PhotoLab で最初に画像を開くと、デフォルトでフルプリセット [DxO 標準] が自動的に適用されます。 プリファレンスを開いて、他のプリセットをデフォルトプリセットに設定することもできます。
用意されているプリセットの使用
DxO PhotoLab では 8 つのカテゴリに分類されたプリセットが用意されています。
汎用プリセット
汎用プリセットには 5 つのプリセットがあります。
- [DxO 標準] プリセットは、画像ブラウザでフォルダを参照する際、全ての画像に自動的に適用されます。 このプリセットには以下の補正設定がなされています (これは全体プリセットで、ここに載っていない他の補正項目は無効になっています)。
- DxO Smart Lighting: 軽く。
- カラーレンダリング: JPEG 画像の場合は補正なし、RAW 画像の場合は撮影に使われたカメラのレンダリング適用。
- 彩度過多補正: 自動。
- ノイズ除去: 自動。
- ディストーション: 自動。
- ヴィネット: 自動。
- 色収差: 自動 (倍率色収差有効)
- レンズシャープネス: [グローバル] スライダの値は 0 、 [ディテール] スライダと [ボケ表現] スライダの値は 50 に設定 (DxO 光学モジュールが利用できない場合は、デフォルト設定のアンシャープマスク適用)。
- [ニュートラルカラー] プリセットは、 [DxO 標準] プリセットと比べて、カラーレンダリングの彩度とコントラストが抑えてあります。
- [DxO 光学補正のみ] プリセットは、DxO 光学モジュールのみを適用します。
- [モノクロ] プリセットは、画像を自動的にモノクロに変換します。
- [補正なし] プリセットは、DxO PhotoLab の全ての補正項目を無効にします。 RAW 画像の場合、DxO PhotoLab は撮影に使われてカメラの基本的な設定によるデモザイシング (RAW 現像) を行います。
プリファレンスでデフォルトプリセットに別のプリセットを選択できます。 デフォルトプリセットを変更しても、すでに処理済 みの画像には影響しません。
ポートレートと風景
ポートレートと風景のカテゴリには 8 つのプリセットがあります。 ポートレートプリセットの場合はコントラストが抑えられ、肌のトーンに最適になります。 風景プリセットはコントラストや彩度が上がります。
- ポートレート: 標準
- ポートレート: 明るい
- ポートレート: キャンディーカラー
- ポートレート: ハイキー
- 風景: 標準
- 風景: 偏光絵はがき
- 風景: 強いコントラスト
- 風景: 洗いざらし
モノクロ
モノクロのカテゴリには、コントラスト表現の異なる 8 種類のプリセットがあります。 このカテゴリにはポートレートや風景に適したプリセットもあります。 またドラマチックな効果を出すプリセットもあります。
- モノクロ: 緻密
- モノクロ: くっきり
- モノクロ: ドラマチックな空
- モノクロ: ローキー
- モノクロ: 女性ポートレート
- モノクロ: 男性ポートレート
- モノクロ: 落ち着いた
- モノクロ: ベール
雰囲気
雰囲気のカテゴリには、トーニングの異なる 8 種類のプリセットがあります。 このプリセットはカラーやモノクロ両方に適用できます。
- 霧
- ロンドンの夜
- ブルーアワー
- 薄暮
- 古いスライド
- 極地
- パープル
- オールドスクール
ハイダイナミックレンジ (シングルショット HDR)
このカテゴリには、HDR 効果をシミュレートする 4 種類のプリセットがあります。特別なソフトウェアや 32 ビットファイルを使うことなく、トーナルレンジを再配分してダイナミックレンジを広げます。 シングルショットプリセットは、異なる露出の複数の写真を統合する必要はなく、RAW や JPEG ファイルに利用することができます。
- HDR:リアル: HDR らしさを抑えた効果を適用します。 ハイライトを復元し、シャドウを明るくして、トーンカーブと自然な彩度は通常設定になります。
- HDR:アーティスティック: ハイライトを復元し、シャドウを明るくし、 トーンカーブと自然な彩度を強調する、HDR 効果を提供します。
- HDR:逆光補正: 逆光で撮影された画像の黒つぶれした部分を自然な感じを維持したままリカバリーします。
- HDR:モノクロ: モノクロ写真用に最適化されています。 コントラストが強くかかります。
スマートフォン
このカテゴリーには、スマートフォンで撮影された画像に対して最適な 2 つのプリセットが用意されています。
- スマートフォン: 低感度
- スマートフォン: 高感度
DxO FilmPack デザイナーズプリセットと DxO FilmPack タイムマシン
DxO FilmPack がインストールされている場合、デザイナーズプリセットを利用できます。デザイナーズプリセットは銀塩写真のレンダリングとグラフィック効果 (フィルタ、調色処理、ヴィネット、テクスチャ、欠陥など) を再現するプリセットで、画像に新次元の芸術的効果をプラスできます。
タイムマシンプリセットは、DxO FilmPack 6 以降で導入されています。 このプリセットでは、タイムマシン機能で写真の歴史を見ながら、1827年~2019年のそれぞれの年代の銀塩写真のレンダリングを適用できます。
デザイナーレンダリング画像は、DxO FilmPack 4 または DxO FilmPack 5 以降で利用可能です。
タイムマシンレンダリングは、DxO FilmPack 6 以降で利用できます。
DxOFilmPack をアクティブ化すると自動的に表示されます (ライセンスが必要です)。
DxO ONE 撮影モード
これらのプリセットは、DxO ONE の撮影モードのレンダリングに対応し、DxO PhotoLab で処理する全ての画像に適用できます。
- DxO ONE: 自動
- DxO ONE: ポートレート
- DxO ONE: 風景
- DxO ONE: 夜景
- DxO ONE: スポーツ
プリセットの適用
あらかじめ用意されているプリセットの適用
画像にプリセットを適用するには、コマンドバーにある [プリセット適用] (PC) または [プリセットを適用する] (Mac) ボタンをクリックします。 [プリセット適用] ウィンドウが表示され、画像に適用できるすべてのプリセットが表示され、適用された結果をプレビューすることができます。
画像ブラウザ内のサムネイル上で右クリックして、コンテキストメニューからプリセットを適用を選択することもできます。 またはプリセットエディタ内のリストから選択することもできます。
プリセットを組み合わせた使用
1 つ以上のプリセットを適用することができます。 両方のプリセットに異なる値が設定がされている場合は、後から適用したプリセットが適用されます。 たとえば、
- 最初に適用したプリセットの値が「補正しない」で、2 番目に適用したプリセットの値が「補正する」の場合は、補正は実行されます。
- 最初のプリセットが「補正する」で値が「-2」、2 番目も「補正する」で値が「+1」の場合は、2番目の設定内容「+1」が適用されます。
このルールを使って、部分的な補正のみを行う部分プリセットを作成できます。これは限られた補正数に対し、完全なプリセットの上に適用できます。 補正が部分プリセットに含まれている場合、その補正が適用されます。 部分プリセットで特定の補正が提案されていない場合、基本プリセットで適用された値が維持されます。
現在の設定からフルプリセットを作成
現在の設定からプリセットを作成するには、以下の手順で行います。
- 画像に補正設定を適用します。
- 補正設定が完了したら、画像ブラウザのサムネイル上で右クリックして、コンテキストメニューから [現在の設定からプリセットを新規作成] を選択します。
- フローティングウィンドウにプリセット名を入力して [保存] をクリックします。
- コンテキストメニューとプリセットリスト内に新しいプリセットが表示されます。
この方法で作成されたプリセットは、すべての設定が含まれるフルプリセットになります。
プリセットエディタパレット (ELITE 版)
プリセットエディタは [設定] タブ内のパレットの一つです。 このパレットで、既存のプリセットを編集してカスタムプリセットを作成したり、変更を新しいプリセットに保存して新しいプリセットを作成・管理したりできます。
プリセットエディタコマンド
PC:
[プリセットエディタ] パレットは以下のコマンドが並んでいます。
- 新規プリセットフォルダ: 類似したプリセットをグループ化できるフォルダを作成できます (カメラ別、テーマ別、風景用、ポートレートなど)。 プリセットは、ドラッグ&ドロップして別のフォルダに移動できます。
- 新規プリセット (現在の設定使用): プレビュー表示されている画像に設定された補正からプリセットを作成します。
- プリセットの複製: 既存のプリセットから簡単にプリセットを作成できます。
- 削除: 選択したプリセットやフォルダを削除します。
- インポート: DxO PhotoLab の前のバージョンや他のコンピュータ上で作成したプリセットを取り込むアイコンです。
- エクスポート: プリセットを他のコンピュータに移動するために書き出すことができます。
- 編集モード: プリセットの変更を可能にします (ELITE 版)。
- 適用: プリセットを選択されている画像に適用します。
- 保存: プリセットへの変更を保存します (編集モードでのみ有効)。
- キャンセル: プリセットへの変更をキャンセルします (編集モードでのみ有効)。
- 新規プリセット (補正未設定): (ELITE 版のコンテキストメニューからのみ) 補正設定のされていないプリセットを新規作成します。 プリセットは予め選択した場所に保存されます。
DxO PhotoLab があらかじめ用意しているプリセットはロックされており、 編集や削除ができません。
プリセットはいくつでも作成でき、カスタムフォルダに保存したり、他のバージョンの DxO PhotoLab 用に書き出したり、共有することができます。
プリセットエディタ内でプリセットを選択し、[編集モード] ボタンをクリックすれば確認や変更が可能です。関連するパレットが編集モードになります。
Mac:
- 現在の設定からプリセットを新規作成:表示された画像に適用された補正を元に、プリセットを新規作成できます。
- 新規プリセットフォルダ: 同じようなプリセットをグループ化するフォルダを作成できます。
- 選択されたプリセットの複製: 既存のプリセットのコピーを作成することができます。
- 新規プリセット (補正未設定): (ELITE 版のコンテキストメニューからのみ) 補正設定のされていないプリセットを新規作成します。 プリセットは、予め選択した場所に保存されます。
補正パレットの右上にあるプルダウンメニューから、以下のコマンドを選択できます (プリセットエディタ内で、プリセットの上で右ク リックしても同様): 新規プリセット(現在の設定使用)、新規プリセット (補正未設定)、新規プリセットフォルダ、プリセットのコピー、名称変更、削除、適用、編集モード、保存、コピー、キャンセル、インポート (同時に複数のプリセットのインポートも可能)、選択されたプリセットのエクスポート。
既存のプリセットを編集してプリセットを作成する (ELITE 版)
PC と Mac
既存のプリセットを変更して新規プリセットを作成するには、以下の手順で行います。
- 変更したいプリセットをクリックします。
- [プリセット] パレット (Mac)、 [プリセットエディタ] (PC) パレットで [編集] ボタンをクリックします。 関連するパレットツールが編集モードに変わります (パレットの左側に青い帯が表示されます)。
- 補正を行いたくないパレットのチェックを外します。 または保存したい補正設定を変更します。 非表示になっているパレットも開いて設定を行うことができます。
- 設定が完了したら、[プリセット] パレット (Mac) または [プリセットエディタ] パレット (PC) の [保存] ボタンをクリックします。
- プリセットの作成モードを終了するには、もう一度 [編集モード] ボタンをクリックします。
ロックされた DxO プリセットから変更したい場合は、[プリセット] (Mac) または [プリセットエディタ] (PC) のコマンドバーにある [コピー] ボタンをクリックし、コピーしたプリセットの名前を変更します。
選択したプリセットをキャンセルする場合は、[編集] > [取り消し] を選択するか、キーボードショートカット Ctrl (PC) / Cmd (Mac) + Z を押します。
プリセットフォルダ (ELITE 版のみ)
一覧にあるフォルダは、ダブルクリック、またはフォルダの左にある三角形をクリックすると、開いて内容を表示することができます。 名前をクリックするとファイル名を変更できます。 できるだけわかりやすい名前を付けて、適切なプリセットが見つけられるようにしておくことをお勧めします。
基本的な補正の適用
ヒストグラム
ヒストグラムについて
ヒストグラムは画像が露光された方法を判断し、効果的に補正するための最も便利な方法です。簡単に言うと、ヒストグラムは明るさのレベルごとにピクセル数を示したグラフです。縦線が大きいほど、その明るさのピクセル数が多いことになります。ヒストグラムが右寄りの場合、画像はより明るく、左寄りだと、画像はより暗いことになります。ヒストグラムが左右にバランス良く広がっていて、中央に頂点がある (中間色に相当) 場合、露光のバランスがとれていて、ダイナミックレンジが広いことになります。
RGB と L チャンネル
DxO PhotoLab のヒストグラムツールは、各カラーチャンネルの明度値を計算し、同じチャート上に重ね合わせて表示していますが、 チャートの右側にあるボタンをクリックして、チャンネルごとに表示することもできます。
- RGB: すべてのチャンネルを同時に表示します (RGB と輝度)。
- R/G/B: 各チャンネルごとに表示します。
- L: 輝度チャンネルを表示します。
CMYK チャンネル
DxO PhotoLab のヒストグラムは CMYK プロファイル (シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック) の画像の各チャンネルの明度値の分布を計算して表示します。 パレットの下部にあるボタン (PC ではヒストグラムの上、Mac ではヒストグラムの下) を使って各チャンネルを個別に表示できます。
- CMJN : 4 つのチャンネルを同時に表示します。
- C、M、Y、K: 各チャンネルごとに表示します。
クリッピング
輝度レベルがヒストグラムの一番左 (ブラックポイント) または一番右 (ホワイトポイント) を超えていると、黒潰れや白とびを起こします。 この状態、またはこれに近い状態のピクセルは「クリッピング」呼ばれています。 もちろん、画像の極端なゾーンにあるディテールを保持するためにも、このような状況は避けることが望ましいと考えられます。 そのため、DxO PhotoLab のヒストグラムチャートの下に 2 つのツールが用意されています (2 つのアイコンで表示)。
- シャドウのクリッピング: このアイコンをクリックすると、暗いエリアで情報が残っていない領域を色で表示します。
- ハイライトのクリッピング: このアイコンをクリックすると、明るいエリアで情報が残っていない領域を色で表示します。
3 色すべてのカラーチャンネルが飽和していて白とびを起こす場所は、画像上で黒く塗りつぶされます。1 色でもカラー情報が 残っている場合は別の色で表示されます。
トーン補正
露光補正
露光補正について
露光補正は、画像内の各ピクセルごとの明るさを増減して、画像の全体的な露光を増やすか減らします。 写真システムは明るさを低めに記録し、写真では現 実世界のコントラストの一部しか再現できないため、多くの画像は露光オーバー、または露光アンダーの領域を持ってしまいます。 両方を持っている画像もあります。
デジタル写真では、カメラセンサーは特定レベル以上の光を「飽和」と受け取り、白いピクセルで表現してしまいます。 露光補正では多くの場合、特にハイライトの状況で、不適切に露光されたゾーンを回復できます。 露光補正は、RAW 画像に対してより大きな補正を実行できます。 一方、JPEG 画像では、RGB それぞれのチャンネルにカメラが一連の操作を実行しているため、元に戻して、元の輝度レベルの情報をチャンネル別に見つけることはできません。
DxO PhotoLab の旧バージョンでは、露光補正が「スマート」に設定されている場合、DxO スタンダードの既定の自動補正を活用できます。 DxO PhotoLab では、露光補正は初期設定で有効にならなくなりました。 トーンの自動補正には DxO Smart Lighting が使用されます。
RAW ファイルの補正
RAW 形式を対象とした露光補正のドロップダウンメニューには、自動補正モードと手動調整用の「カスタム」があります。
- ハイライトの優先度は、 [少し / ふつう / 強く] のハイライトリカバリーを実行します。 この 3 つのレベルを選択する場合はヒストグラムでハイライトクリッピングを表示させながら行うと便利です。
- 中央重点平均: 通常は被写体が配置されている、画像の中心部の露光に合わせて平均させます。
- カスタム (露光補正を有効にした場合の初期設定): 手動調整をする場合、露光スライダを使います。- 4 〜 + 4 Ev (1 Ev=1f-stop) 間で調整できます。 スライダを右に動かすと明るくなり、左に動かすと暗くなります。
多くの撮影状況に合わせて手動で調整するより、自動の露光補正オプションを利用した方が補正作業をスピードアップできます。一般的に普通のコントラストで撮影された画像であれば [少し] の設定で十分です。
露光補正の調整スライダは、部分調整パレットでも利用できます。
JPEG または TIFF ファイルの補正
JPEG と TIFF 画像はカスタムモードで露光スライダを使って補正できます。 補正範囲は、- 4 EV から + 4 EV です。
ヒストグラムハイライトクリッピングの表示を有効にし、変化を確認しながら、少しずつ調整することをお勧めします。 ハイライトクリッピングを表示しながら使うと、露光を上げすぎた場合にクリップゾーンが表示されたり、クリップゾーンが残っていて十分明るさが落とせていない、などがわかります。
コントラスト
コントラストサブパレットには、 [コントラスト] スライダと [マイクロコントラスト] スライダがあります。
DxO FilmPack (ELITE 版) がインストールされている場合、[微細コントラスト] と、これに関連する高度な設定の [ハイライト]、[中間トーン]、[シャドウ] スライダも表示されます。
- コントラスト: このツールは、画像全体のグローバルコントラストを調整します。 DxO PhotoLab は伝統的な S 字カーブを使ってコントラスト調整を行います。シャドウ部とハイライト部分を抑えて、中間トーン部を拡張します。 -100 〜 +100 までのスライダで調整することができます。
グローバルコントラスト補正は、トーンカーブ補正と相反するので注意してください。
- マイクロコントラスト: これは「ローカルコントラスト」とも呼ばれ、輪郭のアーティファクトを発生させるこ となく、シャープネス補正と似たような効果が得られます。 このツールは画像のディテールを強調し、風景写真や建築写真、 商品写真などに効果を発揮します。
マイクロコントラストには 2 つの適用方法があります。
- 手動で適用する場合、スライダを右に動かすとコントラストが上がり、左に動かすとコントラストが下がります。
- 自動で適用する場合は、スライダの右にある [マジックワンド] アイコンをクリックします。
自動モードでは画像内に顔があるかないかを検知し、顔がある場合には適用されません。 同様にデジタルノイズが多い場合、ノイズを強調しすぎないためにも適用されません。 JPEG 画像の場合、マイクロコントラストの自動補正によるスライダの値の上限は +5 に設定されています。
自動補正をリセットするには、 [マジックワンド] アイコンを再度クリックします。
ローカルコントラストがかかりすぎるのを避けるために、ディテールパレットの [アンシャープマスク] 補正と一緒に [マイクロコントラスト] を設定するのは避けてください。
- 微細コントラスト (DxO FilmPack 5 ELITE 版がインストールされている場合): [微細コントラスト] スライダは、中間サイズのディテールを強調したり和らげたりします。マイクロコントラストと比べて、より細かい補正が出来るためポートレートに最適です。
- アドバンス設定 (DxO FilmPack 5 ELITE 版がインストールされている場合): オプションセクションには、 [微細コントラスト] スライダと選択的に適用可能な 3 つの [微細コントラスト] 専用スライダがあります。
- ハイライト
- 中間トーン
- シャドウ.
スライダ値は、-100〜 +100 までで、デフォルトは 0 に設定されています。
DxO Smart Lighting (ELITE 版のみ)
DxO Smart Lighting について
一般的な画像補正は画像全体に適用されます。明るさやコントラストを調整しようとすると、画像全体が明るくなったり暗くなったり、コントラストを弱くなったりします。
DxO Smart Lighting は画像全体ではなく、部分的な明るさとコントラストを補正します。必要な場所にのみコントラストを強調したり弱くしたりします。 必要と判断された部分のコントラストも変更されます。これは以下のような場合です。
- 逆光で撮影した画像
- カメラのセンサーの能力を超えてしまっている場合など、特にとても暗いエリアなど非常に強いコントラストを持った画像
- フラッシュが届かない、コントラストが弱い、露光が足りないなどの画像
これに対して [スポット重点] モードは、検知した顔の部分を Smart Lighting の適用に反映させることで、顔の露光補正を優先して行います。 これは部分的な補正をするということではなく、露光補正の優先度を顔の部分にすることによって、画像の他の部分と比較しても自然でバランスの取れた補正を行うことができます。
DxO Smart Lighting: 均一モード
他のツールと同様に、DxO Smart Lighting の [均一] モードは自動で適用されます。 画像の内容を解析し、補正は画像全体に均一に適用されます。 補正の調整には 2 つのツールがあり、一緒でも別々でも使うことができます。
- 1 つ目のドロップダウンメニューでは、補正の強さを、[弱 (デフォルト) / ふつう / 強 / カスタム] の各レベルから選択できます。
- [強さ] スライダは選択した自動補正モードの強さに設定されています。 [弱] で 25 (デフォルト設定)、 [ふつう] で 50、[強] で 75 に設定されています。 スライダを動かして手動で調整することもできます。 手動で調整するとドロップダウンメニューはカスタムになります。
DxO Smart Lighting: スポット重点モード
DxO Smart Lighting の [スポット重点] モードは、画像内で検知された顔を優先しながら画像の他の部分を大きく変更することなく露光の最適化を行います。 この機能は、以下の場合に非常に有効です。
- 逆光の顔の補正
- 背景と比べて、明るすぎたり暗すぎたりする顔の補正 (たとえば、背景が暗く顔が明るかったり、背景が明るく顔が明るい場合など)
[スポット重点] ボタンをクリックすると、画像内の顔の部分を考慮して DxO Smart Lighting の [弱] モードがデフォルトで適用されます。 検知された顔の数はサブパレット内のスポット重点ツールアイコンの右側に表示されます。
検知された部分を表示するには、[ツール] アイコンをクリックします。 画像内にある顔に対して四角い枠が描かれています。 四角の枠にマウスカーソルを持っていくと枠が編集可能になり(枠の辺が点線になり、四隅にハンドルが表示)、枠の移動、サイズ変更、削除(右上の [×] 印をクリック)をすることができます。
検知されなかった顔に対しては、マウスカーソルを使って新しく四角い枠を追加することができます。 追加された部分を含んだ解析が再度なされ新しい補正結果が画像に適用されます。
スポット重点を選択しても顔が検知されなかった場合、DxO Smart Lighting サブパレットに、 [検知された顔なし] というメッセージが表示されます。 これは顔が正面を向いてなかったり、一部隠れている場合です。 この場合、四角い枠を手動で追加すると、新しい解析が行われ新しい補正結果が適用されます。
プレビュー画像の下のツールバーでは、四角の枠の表示/非表示を選択することができます。また、補正をリセットしたり、ツールを閉じたりできます (サブパレット内のアイコンをクリックしても同様に閉じることができます)。
補正の強さは、予め設定されたモード [弱/ふつう/強/カスタム] から選ぶことができます。また、 [強さ] スライダを使って手動で調整することも可能です。 どの場合も、検知された顔を考慮して補正計算が行われます。
DxO Smart Lighting のどの設定を使ったらよいか
DxO Smart Lighting は中でも特に複雑な補正を実行します。 この補正は画像全体と部分のディテールの両方、そして明暗両方のエリアに影響し、そして画像の明るさとコントラストに大きく影響します。 この複雑な補正を実行するには、使い方をマスターする必要がありますが、DxO Smart Ligting は難しい画像であっても、効率的に補正ができます。
まず始めに、DxO Smart Lighting はハイライトが必要なシャドウ部分でのみ使うようにします。 露光補正とは異なり、ハイライト部分への効果は非常に限定的です。 次に、自動補正モードを使います。自動補正モードはほとんどの画像に対応できるように設計されているため、できるだけ 3 つの自動補正モードを使い、[強さ] スライダで微調整するようにします。 より細かい補正をしたい場合、 [選択的トー ン補正] パレットか [トーンカーブ] パレットを使います。
選択的トーン補正
[選択的トーン補正] パレットは、画像の階調ごとに明るさを調整する非常に直感的で正確な方法です。
- ハイライト: 画像内の明るい部分の情報とディテールをリカバリーします (空の明るい雲や室内の窓を通してみる外など)。
- 中間トーン: 中間トーン、つまりヒストグラムの中央値のレベルを調整します。
- シャドウ: 画像内のシャドウや暗い部分を明るくします。
- ブラック: ヒストグラムの左端に位置する黒い部分を調整します。 スライダを左に動かすとシャドウ部分を真っ黒にします。右に動かすと暗い部分を明るくします (ヒストグラムの左端が右に移動し、真っ黒の部分は画像がない状態になります)。
– 選択的トーン補正ツールは、画像のコントラストを劇的に変更します。 極端に設定せず、クリッピングを避けるためにヒストグラムを見ながら調整します。
– 選択的トーンツールは部分調整でも利用できます。
DxO ClearView Plus (ELITE版のみ)
白いモヤは高い気温、湿度、大気汚染等が原因で発生する場合があり、風景写真でディテールが失われたりコントラスが落ちる問題が生じます。
[強さ] スライダは、デフォルトでは 50 に設定されており、0 ~ 100 の範囲で補正の度合いを調整できます。
デフォルト値の 50 に戻るには、スライダをダブルクリックします。
モヤの現れていない画像でも、青空や風景を強調するために DxO ClearView Plus を使用することもできます。
カラー
ホワイトバランス
光源の種類を問わず、一般的に人の目には光は白く見えますが、 実際には 日中の光には強い青が含まれ、シャドウ部や空が青かぶりし ます。 白熱電灯では黄色かぶり、また蛍光灯によって複雑な緑かぶりを起こします。
このような 好ましくない色は、ホワイトバランスを調整することで修正できます。
ホワイトバランスパレットの補正設定は、画像ファイルの形式によって異なります。
- – RAW ファイル: このファイル形式ではホワイトバランスを調整する必要があり、パレット内のすべてのツールを使って補正できます。
- – TIFF や JPEG: ホワイトバランスはカメラ内処理 (JPEG) や他のソフトウェア (TIFF) ですでに決定されています。 そのため、編集は制限されます。使用できるのは色温度のスライダとカラーピッカーだけです。
RAW ファイルまたは RGB ファイル (TIFF または JPEG) ファイルのどちらを選択したかによって、[ホワイトバランス] パレットは自動的にファイル形式にあわせて表示されます。
プリセットの使用 (RAW ファイル)
ドロップダウンメニューには、多くの場面で利用できるプリセットが用意されています。太陽光、曇天、陰、タングステン、蛍光灯や産業照明 (ナトリウムランプやガス放電灯) などを利用できます。
デフォルトでは [撮影時設定] が選択されています。これは、撮影時にカメラで設定されたホワイトバランスを指します。 色温度と色相のスライダを操作すると [手動 / カスタム] が自動的に選択されます (色温度と色相については後で説明します)。
選択できるプリセットには以下があります。
- 太陽光(色温度 5200 K、色相 0):日中の晴れた空の日の光。
- 曇天 (色温度 6000 K、色相 0): 曇った空のやや冷たく青みがかった光を補正します。
- タングステン (色温度 2850 K、色相 0): 工事現場や集会所などで使われているこのタイプの照明の強いオレンジかぶりを補正します。
- 蛍光灯 (色温度 4000 K、色相 0): 蛍光灯の強い暖色を補正します。
- フラッシュ (色温度 6100 k、色相 0): 電気フラッシュの軽く青味がかった光を補正します。
- 水中 (色温度 15000 K、色相 150): 水中撮影の写真の強く青 / 緑がかった光を補正します。
- 日陰 (色温度 7000 k、色相 0): 日陰撮影の強くかかった冷たい色を補正します。
- 手動 / カスタム: [ホワイトバランスカラーピック] ツールを選択すると有効になります。
ホワイトバランスを、50,000 K まで拡張すると、水中撮影の強く青 / 緑がかった画像を補正する水中設定が可能になります。
撮影時設定のホワイトバランスは、DxO PhotoLab が唯一利用するカメラの設定です。
カラーピッカーの使用 (RAW またはRGB ファイル)
カラーピッカーツールを使うには、画像でニュートラルグレー (可能ならば比較的明るいグレー) にできるだけ近い領域や要素を見つけ、 クリックして適切なホワイトバランスを探します。 自分の好みの色になるまで作業を繰り返してください。
元画像で選択した場所のサイズが小さい場合、ズームすると正確にカラーピックができます。
画像ビューアーの[ホワイトバランス半径]スライダを使うと、カラーピックツールの半径が表示され、カラーピックする箇所のサイズ を変更できます。 半径は 1 ~ 50 ピクセルの間で調整できます。
高い ISO 値で撮影した画像では、ノイズによるエラーを避けるため、半径スライダを「10」に設定してください。
ホワイトバランスカラーピックツールを使用した後は、画像の下のツールバーの右にある [閉じる] ボタンをクリックしてください。
RAW ファイルのホワイトバランス補正
プリセット設定を使った場合でも、 ホワイトバランスカラーピッカーツールを使った場合でも、 [色温度] と [色相] スライダを使って調整することができます。 [色温度] スライダは 2,000 K から 50,000 K の間で設定できます。また、-200 から 200 の幅の [色相] スライダと組み合わせて使うと、色かぶりを取り除くことができます。
いずれの場合でも、ドロップダウンメニューから [撮影時設定] を選択すると、画像の EXIF データから提供される設定に戻すことができます。
RGB ファイル (TIFF または JPEG) のホワイトバランス補正
TIFF や JPEG ファイルを画像ブラウザ内で選択した場合は、ホワイトバランスパレットは自動的に RGB ホワイトバランスパレットになり、色温度スライダとカラーピッカーがあるシンプルなパレットを使用できます。 TIFF や JPEG ファイルでは、カメラ内の処理や他の編集ツールによってホワイトバランスがすでに決定されているため、ホワイトバランスを設定できません。 そのため、新しいホワイトバランスを提供すると、特定の領域の色を変更できますが、他の領域に色かぶりを起こすことがあります。 このため RAW ファイルに比べてシンプルな補正となります。 カラーピッカーまたは色温度スライダ (Macではオプションからもアクセス可能) を動かすと、冷たい感じ (青系) か暖かい感じ (黄色系) に調整することが可能です。
スライダ上でダブルクリックすると、補正をリセットできます。 完璧なホワイトバランスを実現するのは難しいですが、撮影時のシーンをよく思い出して、当時の雰囲気に合った補正をするようにしてください。
ノイズ除去
デジタル写真ノイズ
あらゆるデジタルカメラでは、様々なレベルのノイズが発生します。 ノイズは異なるザラザラ感として現れたり (輝度ノイズ)、様々な色のピクセルで現れたり (カラーノイズ) します。 ノイズはハイライト部分 (輝度のシグナルよりも弱い部分) よりも画像のシャドウ部分や暗い部分 (輝度のシグナルレベルが低い部分) に多く見られます。 高感度 ISO ではシグナルが強まり、その結果としてノイズが強くなるため、高感度の場合にはノイズが多く発生します。
PRIME、DeepPRIME、DeepPRIME XD は DxO PhotoLab の ELITE 版でのみ利用可能です。 サポートしているのは RAW ファイルのみです。
DxO PhotoLab では、ノイズ除去の複数のオプションを使用できます。
- 高画質 (RAW ファイルおよび RGB ファイル): 標準のノイズ除去。 RGB (JPEG、TIFFなど) でも RAW でも、画像を開くとリアルタイムで自動的に適用されます。DxO PhotoLab の ESSENTIAL 版と ELITE 版でご利用いただけます。
- PRIME (RAW ファイル、ELITE 版 ): ディテールと色を最大限に保存する高度なノイズ除去機能です。DxO PhotoLab の ELITE 版で RAW ファイルにのみ適用できます。 コンピューターのパワーと計算時間が必要なため、PRIME の結果はビューアーではなく、ノイズ除去パレットのプレビューウインドウに表示されます。
- DeepPRIME (RAW ファイル、ELITE 版 ): デモザイク処理テクノロジーと人工知能テクノロジー (ニューラルネットワーク を活用したディープラーニング) をベースにしたノイズ除去テクノロジーです。 DxO PhotoLab の ELITE 版で RAW ファイルにのみ使用できます。DeepPRIME にもコンピューターのパワーと計算時間が必要になります。
- DeepPRIME XD (RAW ファイル、ELITE 版): DeepPRIME テクノロジーを進化させた DeepPRIME XD では、ディテールをさらに深く引き出すことができます。
DxO Denoising Technologiesサブパレット
DxO Denoising Technologies のサブパレットには、ノイズ処理の様々なモードにアクセスできるボタンがあり、すべてのツールでプレビューループを使用できます。
ノイズ除去オプションの選択
モード選択ボタンは、そのモードが無効な場合にはグレー、そのモードが選択されて有効な場合は青で表示されます。
- 高品質
- PRIME
- DeepPRIME
- DeepPRIME XD
ノイズ除去のスライダと設定
[輝度] スライダは常に表示されていますが、他のスライダを表示するには [+] ボタン (Mac) または [オプション表示] (PC) をクリックします。 RGB ファイルでは、一部のスライダを利用できません。
- 輝度 (RAW と RGB ファイル): 画像内の「ザラザラ感」を和らげます (初期設定: 40)。 粒状感とディテールの保持のバランスに作用します。
- カラーノイズ (RAW と RGB ファイル): 様々な色のピクセルの処理を調整します (初期設定: 100)。
- 低周波 (RAW ファイル): 重なり合った粒の形で現れる低周波と呼ばれるノイズを低減します (初期設定: 100)。
- デッドピクセル: 写真で明るい点として現れるカメラセンサーのデッドピクセルを低減します (初期設定: 24)。
- メイズノイズ (RAW ファイル): 「クロストーク」効果を低減します (初期設定: 30)。クロストークとは、特定の条件 (小さなピクセルサイズ、フレア、センサーとレンズの間の距離の短さ) で、隣接したピクセルが光を捉える方法に関連する現象です。 この現象はデモザイキングにより強まり、迷路に似た幅1ピクセルの構造として現れます。
- ノイズモデル (RAW ファイル、DeepPRIME モード、DeepPRIME XD のみ): 現れるノイズのモデルを変更することで、ディテールレベルの限界を判断します。 デフォルトでは「0」に設定されています。スライダを右に動かすと、ディテールがさらに引き出され、仕上がりの自然さが失われますが、左に動かすとディテールは低減されますが、仕上がりはより滑らかになります。
DeepPRIME、DeepPRIME XD モードでは、カラーノイズ、低周波、 メイズノイズは役に立たないため、スライダは表示されません。
各スライダの右側にはそれぞれ表示フィールドと設定入力フィールド、マジックワンドのアイコンがあり、いつでも自動初期設定に戻すことができます。
サムネイルアイコン
いずれかのノイズ除去モードで画像を処理する場合、アイコンがサムネイルの左上に表示されます。 高品質モード以外のすべてのモードには、それぞれアイコンがあります (上記をご覧ください)。 アイコンは、モードのいずれかを選択すると表示されます。 PRIME、 DeepPRIME、DeepPRIME XD モードでは、エクスポート前にも表示されます。
ルーペの中心
ルーペ (サイズ: 260 x 155ピクセル) を使うと、画像のノイズ除去をプレビューできます。 基本的に 2 つのケースで使用します。
- 高品質モードで、ノイズ除去効果と使用した設定を確認したいが、画像自体を拡大したくない場合。
- PRIME または DeepPRIME モードで。これらのモードでは計算密度が高く、ビューアーの画像でリアルタイムで表示できないため、ノイズ除去効果を表示する手段はルーペだけです。
画像の上でルーペを移動して正確な場所を確認するには、以下の手順に従います。
- [拡大鏡ツール] ボタンをクリックします (Mac: 拡大鏡ツールで、PC: 右上の拡大鏡ツールで)。
- 画像の中心部に表示される四角をマウスでホールドして、必要な場所に動かします。
- ルーペの内容が更新され、一般的なノイズ除去設定を使った画像領域の選択部分が表示されます。 ルーペは動かしたり 再配置するたびごとに更新されます (PRIME または DeepPRIME では数秒かかる可能性があります)。
- 画像の上にカーソルを置くと点線の長方形に変わります。 これをクリックして、希望する場所に動かします。
- 更新中はルーペに円形矢印が表示されます。
ノイズ除去ありとノイズ除去なしの状態をすばやく比較する場合、ルーペの中をクリックしてホールドすると、前の画像の一部が表示されます。マウスのボタンを離すと、ノイズ除去を実行した画像の一部が表示されます。
PRIME、DeepPRIME、DeepPRIME XDモードを選択した場合、DxO Denoising Technologies の名前の横に、斜線の引かれた目のアイコンが表示されます。これは、ビューアーにノイズ除去のプレビューが表示されないことを表します。
高品質ノイズ除去
高品質ノイズ除去の機能
[高品質] ノイズ除去オプションは、DxO PhotoLab がサポートするすべてのファイルに適用できます (JPEG、TIFF、RAW、DNG)。 このオプションは画質と速度のバランスがとれたオプションで、DxO PhotoLab で画像を開くと自動的に適用されます (DxO 標準のプリセット)。
ノイズ除去の適用と表示は、画像比較ツールを使ったり拡大表示をする場合を含め、ビューアーでリアルタイムで確認できます。 結果を判断するには、100% に拡大することをおすすめします。
すべてのスライダが使われ、DxO PhotoLab は DxO Labs で測定され特長が特定されたノイズを含むカメラの特長、使用したISO 感度を考慮します。 そのため、初期設定でスライダが同じ値を示している場合でも、高品質ノイズ除去は汎用ではありません。
補正を自分でコントロールしたい場合、 [輝度] スライダと [カラーノイズ] スライダを基本的に使い、粒状感とディテールの関係や、画像の暗い領域のカラーピクセルの存在を調整できます。
DxO PRIME ノイズ除去 (ELITE 版、RAW ファイル)
PRIME と DeepPRIME のどちらを選ぶべきか。
DeepPRIME はノイズ除去テクノロジーと取得できる結果の質という点で大きく進化しています。ただし、DxO PhotoLab では PRIME も引き続き使用できます。これは、特に処理能力や計算能力において最新ツールの要求を満たすことができないコンピュータを使っているユーザーもいるためです。
PRIME の機能
DxO PRIME (Probabilistic Raw IMage Enhancement) ノイズ除去モードは、RAW ファイルにのみ適用できます。 DxO PRIME の機能は、以下の原則をベースにしています。
- ノイズ除去の第一段階の画像への適用。
- 最初の画像を基にしたノイズ除去の第二段階の適用。 最も関連する情報の分析により検出された類似要素の推定値を使用するため (画像の内容は一定でないことが多いため、平均計算ではありません)、より深い計算が実施されます。
PRIME のメリット
DxO PRIME を使うと、画像のディテールと色を最大限に保全する目的で、さらに高度なノイズ除去を実現できます。 以下のようなメリットがあります。
- 画像からはあらゆるノイズが除去され、色収差のない鮮やかな色を実現し、ディテールが完全に保全されます。
- カメラが提供する最高感度のメリットを活用し、撮影分野の可能性が広がります。
- またこのテクノロジーを使うと、時にはシャドウ部分にノイズを発生させる低感度で撮影された写真の処理品質を改善できます。また、色彩度にも影響し、彩度をより保全することができます。
最新モデルのカメラよりもノイズが多い旧式のカメラで撮影された写真でも、このテクノロジーを活用することができます。 また、ISO 感度が高く処理品質の違いがあるほど、高品質オプションとの違いがはっきりします。 一般的に、ISO 感度1600 を越えると違いがわかるようになりますが、この値は使用するカメラや写真によっても変わります。
PRIME のデメリット
その一方、DxO PRIME は計算パワーの必要な複雑なアルゴリズムを使用するため、制約事項も発生します。
- ビューアーでリアルタイムで結果を表示することはできません。 プレビューはノイズ除去パレットのルーペ内で確認できます。
- ビューアーで結果を表示できないため、ノイズ除去適用前後の画像を比較したり拡大したりできません。
- 画像全体で結果を判断するには、まず画像をエクスポートして DxO PhotoLab で開いて確認するか、他の写真表示ソフトウェアで確認します。 このプロセスのために、ワークフローは複雑になり、時間がかかってしまいます。
- また、RGB ファイル (TIFF または JPEG) を作成する必要があるため、より多くの保存スペースを用意する必要があります。
処理時間はコンピューターの性能とファイルサイズによって異なります。 数十秒から数分で完了する場合もあれば、コン ピューターが古く性能が低い場合には数十分かかることもあります。
PRIME の使用
PRIME で処理できるのは、RAW ファイルのみです。
- RAW ファイルを選択します。
- DxO Denoising Technologies テクノロジーで、[PRIME] ボタンをクリックします。
- ルーペの内容が更新されます。
- 画像の他の領域を確認するには、 [ルーペの中心] ボタンをクリックします。
- ルーペを画像の上に移動し、希望する場所を順番にクリックします。
- 必要に応じてスライダを調整します。すべてのスライダが初期設定値になっています。調整後に初期設定値に戻すには、マジックワンドをクリックします。
PRIME ノイズ除去を確認して適用するには、画像をエクスポートします。
元の画像と処理済みの画像を比較したい場合、[ハードディスクにエクスポート] ボタンをクリックし、表示されるオプションで出力先フォルダに [元画像のフォルダ内] を選択します。 エクスポートされたら、元画像を右クリックして [画像フォルダを表示] を選択します。画像ブラウザに 2 枚の写真が並んで表示されます。
DxO DeepPRIME および DxO DeepPRIME XD ノイズ除去 (ELITE 版、RAW ファイル)
DxO DeepPRIME と DeepPRIME XD ノイズ除去 (Deep は Deep learning、Probabilistic Raw IMage Enhancement の頭文字を合わせたもの) では人工知能とニューラルネットワークのテクノロジーに基づき、さらに高度なノイズ除去を実現します。このテクノロジーでは、長年にわたり DxO が分析ラボで作成してきた何百万枚もの画像の分析により、アルゴリズムが強化されます。 DeepPRIME XD は画期的な機能で、ディテールをさらに引き出すことができます (XD : eXtra Details)。
DxO DeepPRIME と DeepPRIME XD はノイズ除去だけでなくデモザイキングも実現します。DxO DeepPRIME では、1 枚の画像の問題をデジタルノイズの問題だけに集中することなく、全体で捉えるという全体的なアプローチを採用しています。
DeepPRIME または DeepPRIME XD のメリット
マシンリソースとワークフローにおける DxO DeepPRIME の制約事項は DxO PRIME の制約事項と類似しています(前の段落をご覧ください)。 DxO DeepPRIME と DeepPRIME XD には以下のようなメリットがあります。
- ディテールと色を比類のないほど保全する、画像処理とノイズ除去における素晴らしい品質を実現します。
- 特に高 ISO 感度において、カメラの使用の限界を押し広げることができます。
- 古いカメラで撮影されたデジタル画像に新しい命を吹き込み、優れた品質を実現できます。
DeepPRIME または DeepPRIME XD のデメリット
DeepPRIME と DeepPRIME XD はグラフィックカードの計算力を大きく使用するため、最新のコンピュータを使うメリットは明らかです。 [プリファレンス] で DeepPRIME と DeepPRIME XD が CPU (メインプロセッサ) を使うように強制することができますが、処理時間とエクスポートにかかる時間は大幅に長くなります。
このように計算処理に大きなパワーが求められるため、DeepPRIME と DeepPRIME XD はドキュメンタリーや撮影セッションなどの画像全体に適用するのではなく、対象を絞り込み、優れた画像にだけ適用するようにしてください。
DeepPRIME または DeepPRIME XD の使用
DeepPRIME と DeepPRIME XD は、RAW ファイルのみに適用できます。
- RAW ファイルを選択します。
- DxO Denoising Technologies パレットで、[DeepPRIME] ボタンまたは [DeepPRIME XD] ボタンをクリックします。
- ルーペの内容が更新されます。
- 画像の他の領域を確認するには、 [ルーペの中心] ボタンをクリックします。
- ルーペを画像の上に移動し、希望する場所を順番にクリックします。
- 必要に応じてスライダを調整します。[輝度] スライダは 24、[デッドピクセル] スライダは 40、[ディテール] スライダは 0 に設定されています。 [輝度] スライダと [デッドピクセル] スライダでは、マジックワンドをクリックしていつでも初期設定に戻すことができます。
DeepPRIME または DeepPRIME Xノイズ除去を確認して適用するには、画像をエクスポートします。
元の画像と処理済みの画像を比較したい場合、[ハードディスクにエクスポート] ボタンをクリックし、表示されるオプションで出力先フォルダに [元画像のフォルダ内] を選択します。 エクスポートされたら、元画像を右クリックして [画像フォルダを表示] を選択します。画像ブラウザに 2 枚の写真が並んで表示されます。
DeepPRIME または DeepPRIME XD のパフォーマンスの最適化
DxO DeepPRIME は、計算を実行する際の CPU の負荷を軽減するために、グラフィックカード (GPU) のパワーを使用します。 お 使いのコンピューターとグラフィックカードに互換性がある場合、自動的に GPU が使用されます。 ただし、 [プリファレンス] でいくつかのオプションを設定することもできます。
- Mac: DxO PhotoLab のメニュー > [プリファレンス] > [高度な設定] > [DeepPRIME] にアクセスします。
- PC: 編集メニュー > [プリファレンス] > [パフォーマンス] タブ > [DeepPRIME 高速処理] にアクセスします。
- 自動選択:グラフィックカードがサポートされている場合、このオプションが自動的に選択されます。
- CPU のみを使用: グラフィックカードに問題がある場合、DeepPRIME と DeepPRIME XDがグラフィックカードよりも CPU を使用するように強制します。
- グラフィックカードのモデル名: コンピューターに複数のグラフィックカードが搭載されている場合、DxO DeepPRIME または DeepPRIME XD で使用するグラフィックカードを選択できます。
その他の制約事項
コンピューターの構成によっては、一定の制約事項も存在します。
- DeepPRIME のプリファレンスを変更した場合はいつでも、DxO PhotoLab の再起動が必要です。
- 互換性がない場合、このオプションは無効になります。
赤目修正
赤目修正は全自動で適用することができますが、 顔と目が検知されない場合は、手動モードで補正が可能です。 この機能 は、RAW と DNG だけでなく JPEG と TIFF 画像でも使うことができます。
自動処理を適用するには、画面上部のコマンドバーの右端のアイコン か、 [ディテール] パレットの [赤目修正] サブパレットをクリックして有効にします。 画像内で検知された赤目の上には楕円が
描かれています。 また、サブパレット内には検知された赤目の数が表示されています。
楕円の上にマウスカーソルを持ってくると楕円が編集可能になり、以下の操作をすることが可能になります。
- 楕円の移動
- 2 つのハンドルを使った水平と垂直方向のサイズの変更
- 2 つのハンドルのどちらかを使った回転
- 楕円の外の右上に表示される [×] 印をクリックして削除。
赤目が検知されなった場合、その旨を伝えるメッセージがサブパレット内に表示され (顔の向きが正面でなかったり、小さすぎる場合)、手動で補正することができます。
- コマンドバーのアイコンか、サブパレットをクリックして赤目修正ツールを有効にします。
- マウスを使って、赤目の上に四角い枠を描きます。
- 補正は自動的に適用され、四角い枠が楕円に変わります。
- 必要に応じて調整します (楕円の位置、サイズ、方向)。
- 全ての赤目を同様に補正します。
プレビュー画像の下のツールバーには、画像内で楕円 (瞳を検知した部分) の表示 / 非表示を選択できます。また、補正のリセットボタンとツールを閉じるボタンがあります。
トーンと色の調整
トーンカーブ
トーンカーブについて
トーンカーブは非常に強力で標準的なツールです。 使い始める前に練習をして、カーブがどのように機能するのかを確認することをお勧めします。 トーンカーブでの効果は、主要ツールパレット内の [DxO Smart Lighting] 、 [選択的トーン補正] 、 [色相 / 彩度 / 明度] パレットでも同じような結果を出せます。
トーンカーブは、入力色調値 (受け取る光。水平軸) と出力色調値 (画像内にある光。垂直軸) の関係を示しています。 シンプルな例としては、オリジナルではトーンカーブは 45°の右上がりの直線になっています。このトーンカーブはナチュラルで、ハイライト、中間調、シャドウ部分全ての入力色調値が出力色調値と同じ値になっています。
トーンカーブは、特定のカラーや領域にあわせて微妙に変化させることができ、また最適な形が異なります。 その形から「S字カーブ」と呼ばれる曲線になる場合が多くあります。 このカーブではシャドウ部分やハイライト部分を
圧縮し、中間調を拡張します。これによってコントラストを上げ、力のある画像にします。
トーンカーブを調整する
[ガンマ] スライダを使って、X 軸の中央で傾斜値を調整することでカーブの中央のみ (ガンマ) の傾きのみを変更できます。デフォルト値は 1 で、0.05 から6.00 まで値を変更できます。
- 値が 1 より大きくなるとコントラストが上がり、シャドウ部分のディテールが現れます。
- 値が 1 より小さくなるとコントラストが下がり、ハイライト部分のディテールが現れます。
カーブの形を変えるには、ポイントを決め、そのポイントの上または下にカーブを動かします。 ポイントを配置するには、カーブをクリックしてください。 複数のポイントを決めると、そのうち 1 つだけがアクティブ (黒いポイント)、その他のポイントは非アクティブ (白いポイント) になります。 アクティブなポイントをドラッグしてもカーブを動かすことができます。
アクティブなポイントを削除するには、右クリックするか、[Delete] キーを使います。
X または Y 軸のブラック / ホワイトポイントも、当該ポイントをマウスでドラッグ&ドロップするか、入力ボックスに任意の値を入力して設定できます。
トーンカーブパレット上部のドロップダウンメニューから、RGB 全チャンネルに対して同時に、または個別にトーンカーブを変更することができます。 ドロップダウンメニューの右にある 2 つのリセットボタンで、チャンネルごと、または全チャンネルのトーンカーブを元の 45 度のまっすぐなカーブにリセットすることができます。
色彩強調
[色彩強調] パレットには、 [自然な彩度] と [彩度] という 2 つの異なるカラー調整スライダが用意されています。
自然な彩度
すべての色を強化する [彩度] スライダに比べて、画像内に存在する色を考慮して微妙に機能します。 「スマート」彩度調整とも言えます。 スライダ値は、-100 〜 +100で、デフォルトは 0 に設定されています。 スライダを右に動かすと、劇的な方法で画像全体の自然な彩度が 改善されます。
- 肌の色相は保護され、顔が赤くならないようにします。
- 空のトーンを鮮やかに、暗い部分はそのままにすることで、色の深みを出します。
- グレートーンは色転びがないように保護されます。
スライダがマイナスにある場合は、画像全体の彩度を下げますが、以下のような働きをします。
- 彩度は 0 (モノクロ) にはなりません ( [色相/彩度/明度] コントロールでは、彩度ゼロはモノクロになります)。
- 赤では彩度を抑える傾向にあります。 これは顔が赤く写ってしまった場合に、より自然な肌色に補正する場合に利用できます。
彩度
[彩度] スライダは非常にわかりやすく機能します。スライダを右に動かすと画像全体の彩度を上げます。左に動かすと彩度が下がります。-100 まで下げると画像はモノクロになります。 デフォルトの値は 0 に設定されています。
自然な彩度の値を高く上げる場合は、この彩度の値を高く設定して組み合わせて使用しないようにしてください。
自然な彩度と彩度は、部分調整を使って調整することもできます。
アンシャープマスク
アンシャープマスクについて
アンシャープマスクは、画像のシャープネスを向上させます。 このツールはオリジナルからぼけたコピーを作成し、ぼけたコピーからオリジナルを引くことで、ディテールが強化された画像を生成します。
[アンシャープマスク] パレットには 4 つのスライダが用意されています。
- 強さ: 画像全体にかかるシャープネスの強さ。
- 半径:画像中のディテールエッジの補正エリアの細さを変更します。
- しきい値: 補正が適用される範囲を決定します (しきい値より大きなものに適用されます)。 画像内にあるノイズのような、とても小さいディテールにシャープネスがかかるのを避けることができます。
- エッジオフセット: 画像の中心と周縁部のシャープネスを調和させます。
[アンシャープマスク] パレットの補正は、75% 以上のズームレベルで利用できます。正しい結果を確認するためには 100%で表示して作業したほうがよいでしょう。
アンシャープマスクの使用
アンシャープマスクはデフォルトではオフになっています。 JPEG ファイルの場合はカメラ内であらかじめ処理されているため必要ありません。また、DxO 光学モジュールが用意されている RAW 画像にも必要ありません。 この機能は通常シャープネスのかかっていない JPEG ファイル、または DxO 光学モジュールが無い RAW ファイルに利用します。後で使えるように、アンシャープマスクの設定を微調整してプリセットを作成しておくと良いでしょう。
強さを 100、半径を 0.5、しきい値を 4 ぐらいに設定してから調整を開始すると良いでしょう。 大部分の画像で一般的なしきい値は 4〜10 の間です。 半径は画像中の強調の細かさを変更します。値を高く設定しすぎると、にじみが発生する場合があります。 最後に [強さ] スライダを 200 以内に設定します。
[強さ] スライダをマイナス(-100 〜 0)にするとシャープネスを強調する代わりに、画像をソフトにすることができます。
シャープネスとブラーは部分調整で部分的に調整することもできます。
光学補正の微調整とジオメトリ補正
レンズシャープネス
レンズシャープネスについて
この補正機能は DxO PhotoLab の強力な機能の一つです。 この機能が補正するレンズブラーとは、レンズのポイントがずれることにより小さいぼけが発生する光学的な問題点 (一般的に「レンズぼけ」等で呼ばれています) です。 焦点があっていないぼけや、手ぶれなどは補正することができません。 DxO 光学モジュールはカメラとレンズの各組み合わせごとに、画像のすべてのポイントの「ぼけ量」の測定値を把握しています。 EXIF に含まれている撮影情報 (絞り、焦点距離など) を元に、DxO 光学モジュールによって提供される情報によって DxO PhotoLab はピクセルごとに補正を実行します。 この補正は、画像全体に均一にはかかりません。 これは、一般的にレンズは中央部分がシャープに写るためで、画像の周縁部により強い補正がかかることになります。
レンズシャープネスパレットを利用できるのは、撮影機材が DxO 光学モジュールによりサポートされている画像だけです。 撮影機材がサポートされていない場合、アンシャープマスクパレットを使い、[エッジオフセット] スライダを使って画像の中央部と周縁部のシャープネスを手動で均一にします。
- グローバル: DxO PhotoLab 6.3 (2023年2月リリース) 以降、このスライダーの既定の設定値は 1 に設定され、 範囲は -3 ~ +3 に広がりました。 -3 から 0 までのマイナスの設定でも、補正は微細なレベルで行われ、オリジナル画像より画像がぼやけることはありません (補正後の画像は、オリジナル画像と同じぐらいかそれ以上のシャープネスになります)。 0 に設定すると、オリジナル画像と比較して若干シャープネスが上がります。 シャープネスを抑えたい場合 (ポートレートなど) は、 [グローバル] スライダーを左に動かします。値を大きくする場合はスライダーを右に動かします。 [レンズシャープネス] 補正は大変高度で、ハイライト部や ISO 設定が高い画像でも効果があります。
JPEG 画像の場合は、カメラ内でシャープネスがすでに適用されているため、シャープネスを強くしないことが大切です。 JPEG 画像を後で編集する場合には、カメラのメニューで強調効果を無効にしてください。
- ディテール: [ディテール] スライダは、デフォルトでは 50 に設定されています。 これは画像内の細部のコントラストを上げる効果的な機能です。 風景写真の細部のディテールを表現する場合に有効な手段となりますが、逆にポートレートの場合は、肌の荒れが強調されてしまいます。
[レンズシャープネス] によるディテールの表現強調は、[アンシャープマスク] とは異なり、輪郭強調による白いハロー効果が発生しません。
- ボケ表現: [ボケ表現] スライダは、シャープネスをかけた際に画像がぼけている箇所に発生するアーティファクトを取り除くスライダです。 アーティファクトを取り除こうとするとシャープネスの合っている箇所のシャープネスが若干失われます。
レンズシャープネスとアンシャープマスク
アンシャープマスクを使う前に、レンズシャープネスを使ってまずシャープネスを調整することをお勧めします。 レンズシャープネスは柔軟に使うことができる高度なツールですが、すべてのピクセルに均等に補正を適用するため、全般的な処理となってしまうためです。 もちろん、DxO 光学モジュールにサポートされていない画像では、シャープネス処理はすべてアンシャープマスクパレットで行う必要があります。
倍率色収差
色収差について
色収差は、異なる色がわずかに違う場所で焦点があうために発生します。 いずれにせよ、これは非常に目につく問題であり、特に被写体の境目やコントラストの強い画像の要素で発生します。
グリーンフリンジとレッドフリンジ (横色収差)、パープルフリンジまたはグリーンフリンジ (縦色収差) などがあります。 「パープルフリンジ」は、色収差と同様ですが特定の現象で、紫色のゴーストがコントラストの高い撮影オブジェクトの境目に発生します。
色収差補正
横色収差 (エッジの周りのレッドやグリーンのフリンジ) は、DxO 光学モジュールによって自動的に補正されます。 この場合は、手動補正の必要はありません。
その他の種類の収差 (縦など) は、パレットの 2 つ目のセクションにある 2 つのスライダで補正できます。
- 強さ: 補正の強さを 0 ~ 200 のスケールで調整します。
- サイズ: 抑制の対象となる色収差のサイズを 0 〜 12 の範囲で設定します。 DxO PhotoLab が何を色収差と判断して補正を行い、何を実際の画像の内容として判断するのかを指定します。
逆光の写真や色収差に敏感なレンズを使っている場合、パープルフリンジ補正のチェックボックスにチェックを入れます。
モワレ補正 (ELITE 版のみ)
モワレは非常に細かいディテールとカメラセンサーが干渉して発生するカラーアーティファクトです。 ローパスフィルタがないカメラなどで発生しやすくなります。 これらのカメラではフィルタが強くかかる他のデジタルカメラより鮮明に撮影されるため、その分モワレが発生するリスクが高くなります。 モワレはタイルや網目、羽、毛皮、布地などのディテールによく発生します。
モワレの [強さ] スライダで、これらのアーティファクトを取り除くことができます。設定範囲は 0 〜 100 で、デフォルト値は 100 になっています。 マジックワンドをクリックするとデフォルト値にリセットできます。
このツールの効果は、最低でも 75% 以上のズーム値に設定しないと確認することができません。
焦点距離と撮影距離
レンズの焦点距離と撮影距離の情報は、写真内の EXIF 情報に記録されています。 ただし、この Exif 情報が正確に記録されていない場合があります。 たとえば、17mm と18mm などの異なる焦点距離が同じ値 (18mm) で EXIF 情報内に記録される場合があります。 この場合、最適な歪み補正を実行するための情報が不足します。 同様に、撮影距離も正確に EXIF 情報内に記録されていない場合は、補正が不正確になる可能性があります。 どちらの場合も [ジオメトリ] パレット内に表示される焦点距離と撮影距離の 2 つのパレットに正しい値を入力して調整することができます。
- 焦点距離: 焦点距離を指定できます。
- 撮影距離: ドロップダウンメニューから距離範囲を選択したうえで、スライダで微調整することができます。
焦点距離と撮影距離のスライダは Mac 版では常に表示され、PC 版では自動的に表示されます。
ディストーション
ディストーション補正について
光学的な形の歪みは、ピンクッション歪み、たる型歪み、もしくはそれら両方の組み合わせで発生します。 どの場合も、DxO のラボによるレンズの分析測定データに基づいて補正することができます。 直線を撮影すれば画像内でも直線として表示させることが可能です。
[補正] ドロップダウンメニューでは、DxO 光学モジュールによる自動補正または手動補正 (カスタム) を選択できます。 DxO 光学モジュールが存在しない場合、手動補正のみ利用できます。
[強さ] スライダは、0 ~ 100 の補正範囲で調整できます。 デフォルト設定は 100%で、エッジ付近の大切なディテールのクロッピングを防ぐためや、わざと効果を狙うなどの特別な理由がない限り、デフォルトのままにしておくことをお勧めします。
ディストーションの自動補正
撮影に使用した機材を DxO 光学モジュールがサポートしている場合、DxO PhotoLab は自動的にディストーション補正を実行します。
ディストーションの手動補正
撮影に使用した機材を DxO 光学モジュールがサポートしていない場合や光学モジュールがインストールされていない場合、[カスタム] を選択し、2 つ目のメニューでディストーションのタイプ (たる型 / ピンクッション / 魚眼レンズ) を選択します。
ディストーションを手動で補正するには、グリッドを使います。
魚眼レンズを超広角レンズに変更
魚眼レンズで撮影した画像は特徴的ですが、その画像をウルトラワイドアングルに自動変換することができます。 撮影に使用した機材を DxO 光学モジュールがサポートしている場合は自動で実行され、そうでない場合は手動で実行できます。ディストーションのタイプには [魚眼レンズ] を選択し、[強さ] スライダを使って 手動で調整します。
魚眼レンズ補正ツールを使っている場合、[画像比率維持] のチェックボックスのチェックを外します。これにより、相当量のフィールドアングルを回復できます。
画像に制限
ディストーションを補正すると、常に一定量のクロップが行われます。 DxO PhotoLab では [画像に制限] のチェックボックスにチェックマークが入っており、既定でクロップ済みの画像を表示します。 ディストーション補正を行ったために失われたエッジの黒い部分を常に表示したい場合、このチェックマークを外します。
画像比率維持
通常、ディストーション補正を実行すると画像のエッジがクロップされ、画像のアスペクト比 (幅と高さの比率) が変更されます。 アスペクト比を重要な要素として保存したい場合、パレットの左下にあるチェックボックスにチェックを入れます。 利用できる画像を広く取るために、パレットの一番下にある画像比率維持のチェックを外してみることもできます。 このチェックボックスのチェックをはずすと、画像比率は保持されませんが、クロップのリスクは最小になります。
DxO ViewPoint
DxO ViewPoint パレットについて
– このパレットは DxO ViewPoint がライセンス認証されている場合のみ表示されます。
– プラグインツールの全説明を確認するには、DxO ViewPoint ユーザーガイドを参照してください。 パース補正ツールと ReShape ツールが DxO ViewPoint パレット外にあるため、DxO PhotoLab ユーザーガイドで説明を確認できます。
DxO ViewPoint をインストールすると、[設定] タグに専用パレットが表示され、以下のツールを使用できます。
- ボリューム歪像
- ミニチュア効果
- ReShape ツール
- 画像を水平方向または垂直方向に反転
DxO ViewPoint のツールガイドは、Adobe Photoshop および Lightroom Classic 用スタンドアロンバージョンまたはプラグインバージョンでのみ利用できます
DxO PhotoLab 6 以降、パース補正ツールを常に利用できるようになったため、DxO ViewPoint プラグインには表示されなくなりました。 パース補正ツールは、PhotoLab のジオメトリパレットで利用できます。
ボリューム歪像補正
画像の周縁部に位置する被写体の歪みは、屋内写真、イベント写真、結婚写真などでよく発生するジオメトリ的欠陥です。 これはボリューム歪像と呼ばれ、広角レンズまたは広角ズームレンズを使って静物や人物を撮影したり、集合写真を撮る場合によく発生します。 画像の端に位置する被写体が引き伸ばされてしまいます。 DxO ViewPoint パレットには、これを、水平 / 垂直方向、または対角線方向に補正するツールが用意されています。
利用できる様々なツールについて詳しくは、DxO ViewPoint 各バージョンのユーザーガイドをご覧ください。
ミニチュア効果 (DxO ViewPoint 3 以降)
ミニチュア効果は、画像内のピントの位置をずらして、まるでミニチュアやジオラマの写真を撮ったような印象を風景写真に与えることができます。 この効果は俯瞰で撮った都市写真でより効果的です。 [ミニチュア効果] ツールには、ぼかす部分の位置やその強さに大きな柔軟性があります。
ミニチュア効果を有効にすると画像に 2 段階のブラーが表示されます (4 本の補助線が重なって表示)。実線は画像内でピントの合った部分の境界線になり、点線はピントが合う部分と合わない部分の画像内の上下の境界線になります。 ミニチュア効果は画像内のどの部分にも設定することが可能で、360°回転させることもできます。
ブラーの形と強さは調整することができます。また 2 段階のブラーの位置の対称性とブラーの強さの対称性 (2 段階のブラーに異なるブラーを発生することは可能) は無効にすることもできます。
ReShape ツール (DxO ViewPoint 4 以降)
ReShape ツールを使うと、形を変えることができるグリッドポイントを使って、画像の複数の要素を変更することができます。 このツールは様々な目的で使用できます。
- 被写体の比率の微調整、均等化、または変更
- ジオメトリ補正の微調整 (パース歪みやボリューム歪像の補正)
- 曲がった直線や水平線の補正
水平または垂直方向に反転 (DxO ViewPoint 4 以降)
DxO ViewPoint を有効にすると、DxO PhotoLab に 2 つの反転ツールがインストールされます。
- 水平方向に反転: 画像を水平方向に反転します。
- 垂直方向に反転: 画像を垂直方向に反転します。
これらの操作は、画像メニュー > [方向]、または右クリック > [方向] から行うことができ、 2 つの操作を組み合わせて使うこともできます。操作はリセットも可能です。
DxO PhotoLab 内で DxO ViewPoint を使う場合の相違点
一部のツールと機能は、プラグインモードの DxO ViewPoint でのみ使用できます。
- ジオメトリ補正後に画像で失われる部分は、グレーで表示されます。
- ツールの操作中に直接、補正をプレビューすることができます。プレビューを表示するには、[Ctrl] キー (PC) または [Cmd] キー (Mac) を押し続けます。
- ツールバーを使って画像をズームしたり、画像内を移動したりできます。 ズームした後でスペースバーを押し続けると、一時的にハンドツールを有効にして画像内を移動することもできます。
- パース補正と水平補正ツールを使う際、部分プレビューのルーペが使えません。
- [ミニチュア効果] ツールでは、DxO ViewPoint の様にブラーの強さを画像内でインタラクティブに調整することができません。 この操作をするには、[ミニチュア効果] サブパレットの [ブラー] スライダを使用してください。
- パース補正ツール、ReShape ツール、ミニチュア効果ツールでは、上部ツールバーに [有効化] ボタンがあります。
- パース補正ツールには、ジオメトリパレットでアクセスできます。
レンダリングの追加
ライト
トーン補正
ヴィネットは、画像の角が中央部と比べて暗くなってしまう光学上の欠点です。 ヴィネットの補正は DxO 光学モジュールが利用できるかどうかで方法が異なります。
DxO 光学モジュールが利用できる場合
この場合は、補正ドロップダウンメニューに DxO 光学モジュールで自動補正と表示され、補正は自動で実行されます。 自動補正をさらに調整することもでき、モジュールが利用できない場合は補正ドロップダウンメニューで手動補正に切り替えることもできます。
ヴィネット補正は基本的に 2 つのステップで調整が可能です。
- 最初に、DxO 光学モジュールが、レンズデータ、焦点距離、露出設定などから、画像内の全ピクセルでヴィネットの度合 いを検証します。 [強さ] スライダ (0〜100%) を使って、画像内でどのくらいヴィネットを取り除けばよいのかを決定します。
- 続いて明るい部分におけるクリッピングや、シャドウ部分におけるノイズ増加を防ぐためのフィルタが適用されます。 [オプション表示] をクリックすると、フィルタの強さを調整できる [保持] スライダ (0 〜 100%) が表示されます。
- この値を 0% に設定すると、制限なしでヴィネットが補正されます。
- 例えば 80% に設定すると、大きい範囲のハイライトとシャドウが補正されません。
この 2 つの設定を両方とも調整する場合は、[強さ] スライダを 100% に設定してから、[保持] スライダを動かした方が良いでしょう。これは、[保持] スライダはヴィネット補正の二次効果をより効果的に防ぐことができるからです。 このツールで補正できるのは、レンズによって発生するヴィネットのみです。 レンズフードなど機材の構造によって発生するヴィネットは補正できません。 この場合はクロップツールなどを使って問題箇所をトリミングしてしまう方法もあります。
DxO PhotoLab の他のツールと同じように、マジックワンドをクリックすると、初期設定に戻ります。
DxO 光学モジュールが利用できない場合
利用できる DxO 光学モジュールがない場合は、手動補正モードが表示されます。 [強さ] スライダを使うと、画像周縁部のシャドウを目で確認しながら補正することができ、[オプション表示] で [中央部強調] スライダを使うと、画像の中心部からどこまで補正を適用するかを選ぶことができます。
カラー レンダリング
作業色域
DxO PhotoLab では、バージョン 6 以降、従来のクラシック色域 (旧) より幅広い作業色域「DxO ワイド色域」を使用できます。従来のクラシック色域は Adobe RGB 1998 に対応するもので、ユーザーがこれまでに処理した画像に不要な変更を加えなくてよいように保持されています。作業色域のサブパレットを使うと、色域に応じて画像を管理し、変換することができます。
- DxO PhotoLab 6 以前のバージョンで処理されたすべての画像は、Adobe RGB を使用しますが、DxO ワイド色域で変換することができます。
- DxO PhotoLab 6 で開いたすべての新規画像は DxO ワイド色域を使用できるため、より豊かな色を実現できます。
Adobe RGB で処理された画像を DxO ワイド色域に変換した場合、色 (つまり、画像の印象) が変わる場合があります。その場合、一部の補正をやり直さなければならない可能性があります。
最後に、DxO Wide Gamutスペースで利用可能なソフトプルーフは、旧Classicスペースでも利用可能です。
重要
バージョン 6 (2022年10月リリース) 以降、DxO photoLab では入力画像の作業色域による制限がなくなりました。これは、入力画像がより幅が広い DxO ワイド色域で変換されるようになったためです。 大半のスクリーンの色域にはより大きな制限があるため、画像の補正時に「ソフト校正外の表示カラー」という警告が表示されます。 ただし、この警告が表示されなくないようにすること自体は目的ではなく、警告が表示されても質の高いエクスポートや現像を行うことができます。
DxO PhotoLab 6.3 (2023年2月リリース) 以降、DxO ワイド色域は RAW ファイルだけでなく RGB ファイル (JPEG、TIFF、リニア DNG) にも適用されます。
多くのエフェクトやレンダリングは、DxO Wide Gamut 作業用カラースペースと互換性がないため、関連メニューに表示されません(左:クラシックカラースペース、右:DxO Wide Gamut カラースペース)。
カラーレンダリング (DxO FilmPack が有効になっていない場合、ELITE版のみ)
すべてのカメラ、処理ソフトウェア、そして伝統的な写真のフィルムでは、それぞれ異なる解釈でカラーレンダリングを行います (この解釈がメーカーの評価になります)。 カラーレンダリングパレットの目的は、特定のカメラまたはフィルムのレンダリングのシミュレーションです。美的観点以外にも、この補正には実用的なメリットがあります。 一部のフォトグラファーは複数のカメラを使って撮影をするため、それぞれのカメラで撮影した画像の印象をそろえることができます。 プロフォトグラファーの場合、特定のカメラの特徴を出さずに、ニュートラルな仕上がりに揃えてクライアントに提出したいという場合もあります。
カラーレンダリング (DxO FilmPack が有効)
バージョン 6.0 以降で FilmPack が有効な場合、カラーレンダリングサブパレットに [DxO FilmPack Time Machine] ボタンが表示されます。 このボタンをクリックするとタイムマシンのウィンドウが表示され、19 世紀から 2020 年までの写真史を辿ることができます。 また、タイムマシンで提案されるプリセットを直接適用することもできます (詳しくは、「DxO FilmPack & タイムマシン」のセクションをご覧ください)。
JPEG または TIFF 画像
他の補正と同様に、TIFF や JPEG 画像へのカラーレンダリング補正は、RAW ファイルへの補正に比べて限界があります。すでに処理済みの場合、撮影時の情報を取り戻すことはできません。 これらのファイル形式の場合は、フィルムシミュレーションのみ使用できます。
フィルムカテゴリは、[カテゴリ] と [レンダリング] の 2 つのドロップダウンメニューからアクセスできます。 [強さ] スライダでは、オリジナル画像と他のカラースペースに変換した画像のブレンド率を調整できます。デフォルト設定は 100 で、0 にすると元画像、100 以上にすると補正 が強調された効果になります。
RAW 画像
RAW 画像はすべての光の情報が含まれているため、様々なカラースペースにも変更することができ、カラーレンダリング補正が効果的にかかります。 [カテゴリ] と [レンダリング] の 2 つのドロップダウンメニューから様々な設定が行えます。
- ジェネリックレンダリング: カメラのデフォルトレンダリングとは、カメラ本体のデフォルトのレンダリングです。JPEG ファイルの場合は、工場出荷時の設定でレンダリングさたコントラストや色を表示します。 2 つ目のドロップダウンメニューでは、カメラのデフォルトのレンダリングから選択できます。 ポートレート写真に特化したレンダリング、4 種類の [ニュートラルカラー] から選択できます。[ニュートラルカラー] は、コントラストなど、トーンカーブが若干異なります。 オプションの中のニュートラルカラーは、他のカラーレンダリングへ切り替える場合の基本となる設定です。
DxO PhotoLab では、いくつかのカメラメーカーのフォトスタイルは考慮しませんが、 標準のオリジナルレンダリングに可能な限り近づけるようにします。 DxO PhotoLab では、富士フィルムのレンダリングを適用できます (以下をご覧ください)。
- カメラ本体: カメラ本体が選択されていると、2 つ目のドロップダウンメニュー内に、DxO が実際に計測してテストした様々なメーカーやモデルのカメラリストが表示されます。
- フィルム: DxO PhotoLab はカラーポジフィルムの [ジェネリックポジフィルム] のみ提案します。
DxO FilmPack が未インストールで有効になっていない場合は、銀塩フィルムレンダリングとして使用できるのは、よく使用されるいくつかのカラーポジフィルム (Kodachrome、Fuji、Velvia 等) のみです。 DxO FilmPack が有効な場合、数多くのフィルムレンダリングを使用できます (詳しくは、DxO FilmPack のユーザーガイドをご覧ください)。
- ICC プロファイル: ICC プロファイルを選択するとダイアログボックスが開き、コンピュータのブラウザを使って保存したプロファイルを見つけることができます。ICC プロファイルは、画像を操作できるあらゆるデバイス (スキャナー、カメラ、スクリーン、プリンターなど) の色域を特徴づける一連のパラメータです。
- DCP プロファイル: 詳しくは、「DCP プロファイルを使う」のセクションをご覧ください。
- 強さスライダ: 強さスライダを使うと、オリジナル画像のレンダリングを徐々に他のカラーレンダリングに変えることができます。 0 はオリジナル画像に該当し、既定では 100 に設定されています。 クラシック色域 (旧) を使用している場合、100 以上の値にすると非常に強い補正を行うことができます。 DxO ワイド色域を使用している場合、最大値 は 100 で、これが既定値として設定されています。
- 彩度過多補正:特定のカラーが飽和して、ディテールが失われたり不自然な色になってしまうことをしまうのを防ぐためのツールです。 飽和は特定のカラーチャンネルの明るさが最低 (0) や最大 (255) に近い場合に発生します。 スライダを調整することで、値が 0 や 255 を超えないように調整できます。また、その色の色相が自然なままになるようにできます。 この処理は自動的に実行されます。[強さ] スライダを使うと、微調整できます (マジックワンドンをクリックすると、オリジナルの自動モードに戻すことができます)。
彩度過多の保護の [強さ] スライダは特定のカラーレンダリングに適用した場合のみ利用できます。RAW 画像では、カラーレンダリングが適用するため、[強さ] スライダが常に適用されます (デフォルトではカメラ本体のカラーレンダリングが選択されています)。JPEG 画像ではカメラボディで既に処理済みのため、明確に指定した場合を除き、DxO PhotoLab はカラーレンダリングを適用しません。
富士フィルムの画像
富士フィルム製のカメラを使用している場合、カメラのレンダリングを自動で適用できます (一般的なレンダリングやカメラで選択した銀塩フィルムレンダリング)。 その場合、DxO PhotoLab の [プリファレンス] > [>全般] で [富士フィルムの画像に自動的に富士カメラのレンダリングを使用する] オプションを有効にする必要があります。 DxO FilmPack をインストール済みかどうかにより、2 つのケースが考えられます。
- DxO FilmPack がインストールされていない場合: カメラが富士フィルムの銀塩レンダリングに設定されている場合、DxO PhotoLab はカメラの一般的なレンダリングを適用します。
- DxO FilmPack がインストールされている場合: 富士フィルムの一般的なレンダリングに加え、富士フィルムのすべてのレンダリングを自由に適用できます。 この場合、富士フィルムのレンダリングを、DxO PhotoLab のサポート対象のあらゆるメーカーと機種にも適用できます (レンダリングは [カラーパレット] > [カラーレンダリング] > [レンダリング]、またはプリセットの [DxO FilmPack デザイナーズ – カラー] および [DxO FilmPack デザイナーズ – モノクロ] からアクセスできます。
スタイル – 調色処理(DxO FilmPack が有効になっていない場合)
[スタイル – 調色処理] パレットには、画像全体のコントラストや彩度を調整してクラシックスタイルを再現するプリセットが用意されています。 以下の 4 つのスタイルから選択できます。
- モノクロ: カラー画像をモノクロに変換します。
- 風景: 緑色が強調されます。
- ポートレート: スキントーンをきれいに見せます。
- セピア
[強さ] スライダで調整することができます。 デフォルトの値は 100 で、0 にするとオリジナル画像になります。
スタイル – 調色処理パレットの内容は、DxO FilmPack を有効にしているかどうかで変わります。 詳しくは、DxO FilmPack パレットのセクションを確認してください。
DxO FilmPack & タイムマシン
このパレットは DxO FilmPack プラグインがライセンス認証されている場合のみ表示されます。
DxO FilmPack パレットを使うと、DxO PhotoLab 内で、フィルム効果や DxO FilmPack で提供される機能をシームレスに使用できます。
複数のサブパレットを利用できます。
- フィルタ: レンズフィルタを再現するものです。
- DxO FilmPack 粒状感 (PC) / 粒状感 (Mac): モノクロやカラーの 60 種類以上のフィルムが持つ粒状感を再現できます。
- 微細コントラスト: DxO PhotoLab の [コントラスト] サブパレットに [微細コントラスト] スライダを追加します。
- モノクロ用のチャンネルミキサー (PC) / チャンネルミキサー (Mac)、(DxO FilmPack の ELITE 版でのみ利用可能): カラー画像からモノクロ画像に変換する際にカラーチャンネル (RGB: 赤、緑、青 / CMY: シアン、マゼンタ、黄) のバランスを自分の好みに合わせて調整できます。
- クリエイティブヴィネット (DxO FilmPack の ELITE 版でのみ利用可能): 画像の周縁部分の光量調整が可能で、画像の中央に視線を集めたい場合に利用される手法です。
- ブラー (DxO FilmPack の ELITE 版でのみ利用可能): ヴィネットを使うと被写体の周りにブラー効果を適用でき、ソフトフォーカスを使うと画像に光の拡散効果を適用できます。
- フレーム (DxO FilmPack の ELITE 版でのみ利用可能): 画像の周辺部分にフレームを付けます。
- テクスチャ (DxO FilmPack の ELITE 版でのみ利用可能): 傷やしわくちゃの紙などのテクスチャを付けます。
- 光漏れ (DxO FilmPack の ELITE 版でのみ利用可能): フィルム現像の際にフィルム上に光が漏れる現象や経年による効果を再現します。
利用できる様々なツールについて詳しくは、DxO FilmPack 各バージョンやエディションのユーザーガイドをご覧ください。
タイムマシンは、19 世紀から 2010~2020年代までの写真史を彩った出来事を10年ごとに説明します。 この機能では写真史を確認できるだけでなく、タイムマシンウィンドウを使って提案されるプリセットを直接適用することもできます*。
- カラーレンダリングサブパレットで [タイムマシン] ボタンをクリックします。
- ウィンドウの下に表示されるバナーをクリックして、年代を選択します。
- それぞれの年代に、複数のページが表示されます。 ページの移動には、テキストの下の矢印を使います。
- 各説明の下に、対応するレンダリングが表示されます。 レンダリングをクリックすると、そのレンダリングを画像に直接適用できます。
- 適用される設定は元に戻すことができるため、好きなようにレンダリングを変更できます。
- タイムマシンを終了するには、[閉じる] をクリックします。
* タイムマシンのレンダリングは、[設定] タブの右上にある [プリセット] ボタンからも使用できます。
水平補正とクロップ
水平
[水平] ツールは、傾いた画像を水平に補正できます。自動モードと手動モードが利用できます。
水平の補正は、クロップツールでクロップの罫線を使って補正することもできます。
自動モード:
- 水平スライダの右にあるマジックワンドアイコンをクリックします。
- 自動補正をキャンセルするには、マジックワンドをもう一度クリックします。
- 補正の微調整をするには、[水平] スライダを使います。
手動モード:
このモードでは、ユーザの判断で水平の傾きを補正することができます (このツールは、コマンドバーからもアクセスできます)。
- [水平] ボタンをクリックします。
- 画像内で、傾いた水平線上にラインが重なるようにアンカーポイントを移動します。
- 画像内に新しくラインを引き、アンカーポイントを移動して調整することも可能です (クリックしてマウスのボタンを押しながら移動)。
- 画像を拡大ズームした場合、 [移動 / ズーム] パレット内で位置を確認できます。
- 画像の右下にある [プレビュー] ボタンをクリックすると、 水平補正が行われます。
- [リセット] ボタンをクリックすると補正をキャンセルして元の状態に戻すことができます。
- [適用] ボタンをクリックすると補正が適用されます。
水平ツールは、画像に小さな回転 (5° 未満) を加えたい場合にも便利です。 小さな回転を加えるには、スライダを使うか、値を入力します。
クロップ
[クロップ] パレット
パース補正/水平ツールで補正すると、画像の周縁部の情報が失われます。 そのため、 [クロップ] パレットは自動モードに設定され、補正メニューは [キーストーン/水平補正指定値] に基づいて自動に設定され、アスペクト比は [画像比率維持] にデフォルトで設定されています。 そのため、クロップは画像の要素を可能な限り保全しながら完全に自動で行われます。
- ドロップダウンメニューから [無制約] ではなく [画像比率維持] を選択すると、縦と横の比率 (たとえば 3:2 や 4:3) を維持したままリサイズすることもできます。
- 画像比率メニューから、1:1 (スクエアフォーマット)、5:4 (クラシックな 5×4 や 10×8 フォーマット) など違う比率を選択することもできます。
罫線はデフォルトでは表示するように設定されています。
手動クロップ
下部ツールバー
上部のツールバーで [クロップツール] ボタンをクリックしてクロップツールをアクティブにすると、画像の下にもバーが表示されます。 こ のバーには、左から右に、次のオプションが含まれます。
- 事前定義されたアスペクト比 (1:1、16:9など) の選択メニュー。 初期設定では [オリジナル] に設定されています (オリジナル画像の縦横比率が保存されています)。
- 画像を左または右に 90° ずつ回転するボタン ([画像] > [方向] からもアクセスできます)。
- クロップで失われる領域の不透明度を調整するスライダー (初期設定では 50%)。
- クロップグリッド表示をアクティブ / 非アクティブにする [グリッドの表示] チェックボックス。
- クロップ後の画像の縦と横のサイズ (ピクセル)。この数値は、クロップ操作中にリアルタイムで変化します。
- クロップをキャンセルする [リセット] ボタン。
- クロップを確定してツールを離れるための [閉じる] ボタン。
水平補正
自動補正と手動補正のいずれを選択した場合でも、水平ツールを使わずに水平を直接補正することができます。
- クロップ罫線の 4 つ隅の 1 つの近くにマウスを置くと、回転矢印が表示されます。
- マウスの左ボタンをクリックしながら、希望する方向に回転させます。
- 水平を補正したい場合、罫線を参照線として使用してください。
手動クロップ
手動クロップを行う場合、ドロップダウンメニューから [クロップツール] ボタンをクリックして、 画像をクリックすると、画像内に点線の四角形が表示されます。 特定のアクペクト比を選択している場合、その比率でボックスが描かれ、サイズ変更時もその形が保たれます。 [無制約] モードにしている場合は、自由に形を変更することができます。
クロップが有効になったら画像上でマウスを左クリックしたままドラッグしてクロップボックスを描くこともできます。 四角形の横か 角をドラッグするだけでサイズを変更できます。
マウスポインタを四角形の中でドラッグすると、画像上で四角形を移動させることができます (4 方向矢印がマウスポインタの代わりになります)。
ボックスの外側をクリックすると、新しいボックスを描くことができます。
ドロップダウンメニューで [アスペクト比]、[無制約] を選択した場合、[Shift} キーを押すと比率を保持できます。
手動クロップをする場、画像右下にサイズがピクセル数で表示されます。
クロップツールを使っている場合は、コマンドバーが画像の下に表示されます。 ここではアスペクト比を設定したり、罫線を表示/ 非表示にしたり、クロップをリセットしたり、ツールを閉じることができます。
[Enter]キーを押して補正を適用してツールを閉じるか、[Esc] キーを押してクロップ設定をリセットしてツールを閉じることができます。
カスタム比率
カスタム比率を使うと、例えば Web での公開や出版物で使用する形式に合わせたり、写真ラボが提案するサイズで現像したりする用にクロップできます。 その場合、公開後に目にするのとまったく同じ画像を確認できるため、最終出力に驚くことはありません。 ここでは、現像サービスで使用されている 175 x 50 のパノラマ形式を使って説明します。
PC:
カスタム比率を適用するには、以下の手順で適用します。
- 画像下部にツールバーで表示される [クロップ] サブパレットの [比率] メニューで、[カスタム比率を入力] を選択します。
- 幅と高さの 2 つの値を「X」または「/」で区切って入力し (例:175×50、175/50 など)、[Enter] キーを押して確定します。
- 入力した比率に応じて、クロップの罫線が表示されます (値は比率メニューに表示されます)。 公開または現像されるそのままの状態を確認しながら、画像のフレーミングや構成を調整できます。
カスタム比率を削除するには、以下の手順で削除します。
- 比率メニューを開き、[カスタム比率を入力] セクションで削除する比率の上にマウスを置きます。
- 比率がハイライトされ、右側にゴミ箱が表示されます。 ゴミ箱をクリックして削除します (削除できるのは、カスタム比率だけです)。
Mac:
カスタム比率を適用するには、以下の手順で適用します。
- 画像下部にツールバーで表示される [クロップ] サブパレットで、ドロップダウンメニューから [アスペクト比] をクリックし、入力フィールドを有効にします。
- 幅と高さの 2 つの値を「X」または「/」で区切って入力し (例:175×50、175/50 など)、[Return] キーを押して確定します。
- 入力した比率に応じて、クロップの罫線が表示されます (値は比率メニューに表示されます)。 公開または現像されるそのままの状態を確認しながら、画像のフレーミングや構成を調整できます。
カスタム比率を削除するには、以下の手順で削除します。
- [比率] メニューを開き、[カスタム比率をクリア] を選択します (すべてのカスタム比率が削除されます)。
検索条件を使用する
入力したカスタム比率が既存の比率と一致する場合、既存の比率が自動的に選択・表示されます (例: 現像用に 75×50 と入力した場合は3×2)。
現実的でない比率や一貫性のない比率を入力した場合、DxO PhotoLab は受け入れられる比率の上限を表示します。
数値には小数点を使用することができます (例: 22.5×5)。小数点はドット (Mac、PC) またはカンマ (Mac) を使用することができます。
カスタム比率は、必要な数だけ無制限に保存できます。