部分調整について
正確なレタッチ作業が必要な場合や、ワンランク上の画像を再現したい場合、DxO PhotoLab の部分調整機能を使うと、画像を部分的に直接補正することで高度な画像処理を行うことができます。 空の色を濃くする、逆光の被写体を明るくする、シャープネスを上げる、特定のディテールの色を強調するなど、活用方法は無限大です。
DxOPhotoLab には、豊富な部分調整オプション、ブラシ、自動マスクのほか、コントロールポイント、コントロールライン、段階フィルター、消しゴムツールなど多彩なツールが用意されています。さらに、1 枚の画像内でこれらを異なる設定と組み合わせることもできます。
部分調整へのアクセス
右側のパレットで利用できるさまざまなツールを使って画像にグローバル調整を実行した後、 [設定] タブの上部ツールバーで [部分調整] ボタンをクリックして部分調整を実行することができます。 画像の上で右クリックすると、リングメニューにアクセスできます。
リングメニュー
リングメニューはその名前の通り円形のパレットで、さまざまな部分調整マスクを選択できます (左下のブラシから順に)。
- ブラシ: 画像に色を塗る操作で調整を適用します。
- 自動マスク: エッジを自動的に検出し、ブラシで調整を適用します。
- コントロールポイント: クリックしたポイントの色と明るさに類似したピクセルに調整を適用します。
- コントロールライン: コントロールポイントと同じ原則ですが、ラインとカラーピッカーで定義して、より幅広い領域に調整を適用します。
- 段階フィルタ: レンズに固定する段階フィルタの効果をシミュレートします。
- 消しゴム: 部分調整マスクを修正または消去します。
- 新しいマスク: 部分調整の新しいマスクを作成できます。
- リセット: すべての部分調整をワンクリックでキャンセルします。
- ヘルプ: リングメニューの中心にあります。1 つのツールがアクティブになると、画像の右下に情報パレットとキーボードショートカットを表示します。
注: 選択したマスクは、リングメニューで青色で示されます。
リングメニューを表示するには、画像上の任意の場所を任意のタイミングで右クリックします。 リングメニューをドラッグして移動することはできませんが、画像上で右クリックして好きな場所に表示することができます。
マスクツールを使いながらリングメニューを呼び出す場合、 [Esc] キーを押しながらアクティブなマスクに戻ることができます。 [Esc] キーをもう一度押すと、部分調整を終了します。
部分調整のパレット
部分調整のパレットでは、部分調整マスクや補正マスクを全体または個別に操作・表示でき、不透明度の調整やマスクの反転などの全体的な変更を実行することもできます。
ブラシ、段階フィルタ、自動マスク、コントロールポイントやコントロールラインなどの部分調整マスクを作成すると、それらのマスクはパレットにリストで表示されます。 画像に与える結果は、リストの表示順に関わらず同じです。
マスクのリスト
リストの上にマウスを置くと、マウスを置いたマスクがパレットで明るくなります。 他のマスクは一時的に非表示になるため、そのマスクがアクティブかどうかに関わらず、そのマスクだけを画像の中で確認できます。 これにより、リストのどのマスクが画像のどのマスクに対応するか確認することができ、たとえば微調整を確認したい場合には、表示されたマスクだけに集中できます。
不透明度スライダ
部分調整を実行した後、不透明度スライダを使って濃度や効果を調整できます (初期設定では 100 に設定されています)。 これにより、実行した調整が強すぎる場合でも、変更・低減する調整をイコライザーで操作したり、最初から作業をやり直すことを避けられます。
マスクの選択幅スライダ
マスクの選択幅スライダはコントロールポイントやコントロールラインと一緒に使用できます。 このスライダを使うと、コントロールポイントやコントロールラインでカバーする色の許容差の範囲を調整できます。 これにより、色相や明るさのレベルのバリエーションを調整に含めることができます (たとえば、肌の色の色相のバリエーションを考慮する場合など。次の例を参照してください)。
- 色相: 色相のバリエーションの広がりを定義します (既定では 50%)。
- 輝度: 色の明るさの広がりを定義します (既定では 50%)。
マスクの表示と非表示の切り替え
ブルーマスクと補正の表示、またはそのいずれかの表示と非表示を切り替えることができます。
- アクティブなマスクのブルーマスクを一時的に表示 / 非表示にする: 画像内のマスクの円形または部分調整パレット内のマスク名の上にマウスカーソルを置きます。 画像の上にマウスカーソルを置いたり (ブルーマスクを表示)、外したり (ブルーマスクを非表示) することもできます。 また、画像の下に表示されるバーでも、「マスクを表示」にチェックマークを付けたり、外したりできます。
- アクティブなマスクで、ブルーマスクと適用された補正を表示 / 非表示にする: 部分調整パレットのマスクのリストで、アクティブなマスク名の右側にマウスカーソルを置き、斜線の引かれた目のアイコンをクリックします。 パレットの下部にある目のボタンをクリックすることもできます。 斜線の引かれた目のアイコンをクリックして表示を再びアクティブにしない限り、画像やマスクの円形の上にマウスカーソルを置いても、ブルーマスクとアクティブなマスクによる補正は表示されません (後者にも斜線の引かれた目のアイコンが表示されます)。
- すべての部分調整マスクと関連する補正の表示を一時的に無効にする: 部分調整パレットの切り替えをクリックします (もう一度クリックすると、表示が再度有効になります)。
マスクの反転
[マスクの反転] ボタンはパレットの右下にあり、選択した部分調整と画像の残りの部分をワンクリックで反転できま す。 たとえば、暗い領域をブラシで塗り、[マスクの反転] をクリックすると、塗りつぶした領域は元の明るさに戻り、画像の残りの領域がより暗くなります。 別の例としては、段階フィルタを画像の上部に上から下に適用し、[マスクの反転] をクリック すると、段階フィルタは画像の下部に上向きに適用されます。
マスクの名前の変更
マスクは部分調整パレットのリストにあり、初期設定では使用するツールに基づいて名前が付けられています。 マスクの名前は自由に変更することができます。 たとえば、どの種類の修正や写真のどの箇所に修正したかなどを一目でわかるようにするため、ワークフローに関連した名前に変更できます。
名前を変更するには、リストのマスク名をクリックして、新しい名前を入力します。 [Enter] キーを使って確定する必要はありません。 別の名前を変更するには、リストで次のマスクに移動します。
PC では、右クリックしてコンテキストメニューから [名称変更] を選択できます ([F2] キーを使うこともできます)。
名前を変更しても、マスクがリストに表示される順番は変わりません。
マスクの複製
マスクを複製すると、同じ調整のマスクを簡単に追加できます。 そのためには、次の 2 つの方法があります。
- 部分調整パレットのマスクのリストから、マスクを選んでクリックして右クリックし、コンテキストメニューから [マスクの複製] を選択します。
- リストでマスクをクリックし、サブパレットの右下で [マスクの複製] ボタンをクリックします。
複製されたマスクはオリジナルのマスクの上に重なって表示されます。 移動させるには、円形をクリックし、マウスでホールドします。 マスクは好きな数だけ複製できます。名前にはオリジナルのマスクの名前が使用されます (お好きなように変更できます)。
マスクの削除
マスクを削除するには、削除するマスクをリストでクリックして選択し、パレット右下の [マスクの削除] ボタンをクリックします。 右クリックで表示されるメニューから削除することもできます。
画像上でマスクを削除するには、画像上で円形をクリックしてアクティブにし、[Delete] キー (PC および Mac) または [Backspace] キー(Mac) を押します。
部分調整マスクの使用
部分調整のマスクとは、画像の特定の領域や要素に行った補正やレタッチのことです。 プリセットによる補正、 [設定] タブの補正ツールを使って自動または手動で行った全体的な補正に関係なく、レタッチを追加して使用できます。
ブラシ、段階フィルタ、コントロールポイント、自動マスクを使用する場合、レタッチする画像の一部にマスクを作成することになります。 このマスクに、イコライザーで使用できる様々な補正を適用することができます。 レタッチするゾーンは、青色のマスクで表示されます (コントロールポイントは除く)。これにより、画像の補正する部分を簡単に認識できます。
インターフェイス
インターフェイスは非常にシンプルです。パレットでツールや調整機能を探す必要がないため、画像、特に補正する部分に集中することができます (部分調整のパレットは、マスクの一般的な操作に使います)。 この機能は、画面上部のツールバーの [部分調整] ボタン、または [部分調整] パレットの [ツール] ボタンをクリックすると有効にできます。前節で説明されているリングメニューを使ってマスクを選択します。
インターフェイスの共通項目
マスクを選択した後、共通インターフェイスは次のように表示されます。
- マスクは、円形と選択したツールのアイコンで表示されます。 実行中のマスクの円形は黒色 (縁は青色) で表示され、アクティブではないマスクはグレーで表示されます。
- 画面右下のヘルプのフローティングウィンドウには、可能なアクションの一覧とキーボードのショートカットが表示されます。 このウィンドウはデフォルトで表示されますが、左上の [x] ボタンをクリックして閉じることができます (このウィンドウを再度呼び出すには、画像の上で右クリックし、リングメニュー中央の [?] をクリックします)。
- イコライザーでは、垂直スライダーの操作によりマスク上で直接実行される補正ツールを使用できます。
キーボードショートカットを使って次の操作を実行できます (ショートカットは、右下のヘルプウィンドウで確認できます)。
- イコライザーの表示 / 非表示 : [E] キー (PC) または [Shift] + [E] (Mac)
- マスクの表示 / 非表示: [M] キー (PC)
- マスクのアクティブ化 / 非アクティブ化: [Shift] +[H] キー
- マスクの複製: [Shift] + [D] キー
- マスクの反転: [Shift] + [I] キー
- マスクの作成: [Shift] +[N] キー
- マスクの削除: [Delete] キー
- 領域の保護 (コントロールポイントで): [Alt] キー + クリック
イコライザー
部分調整に関連した補正設定は、イコライザーにグループ化された垂直スライダで表示されます。 スライダには、ライト、 カラー、ディテールの 3 つのグループがあります (イコライザーの左に上下に表示されます)。
[ライト] のグループ (左から右に):
- 露光: マスクの明度を調整します。 明るくするにはスライダを上に動かし、暗くするには下に動かします。
- コントラスト: マスクのコントラストを調整します。 コントラストを強めるにはスライダを上に動かし、和らげ るには下に動かします。
- マイクロコントラスト: 細かなディテール (テクスチャ等) のコントラストを部分的に強めたり和らげたりできます。 マスクでカバーされた要素を強調したい場合は、スライダを上に動かし、細かなディテールを和らげたい場合は、スライダを下に動かします。
- ClearView Plus: ブラックトーンを修復して白いモヤや霧を低減し、コントラストや彩度を強調します。
- ハイライト: スライダを下に動かすと高光量の領域のディテールを修復し、上に動かすと増幅します。
- 中間トーン: 中間トーンの明るさを調整します。明るさを増やすにはスライダを上に動かし、減らすには下に動かします。
- シャドウ: シャドウや暗いトーンを調整します。明るくするにはスライダを上に動かし、濃くするには下に動かします。
- ブラック: 最も暗いトーンの限度を設定します。明るくするにはスライダを上に動かし、濃くするには下に動かします。
[カラー] のグループ (左から右に):
- 自然な彩度: 選択的に彩度を調整します。 彩度が飽和した色には影響せず、他の部分の彩度を上げることができます。
- 彩度: 色相の強度を増加または減少します。
- 色温度* (RAW ファイルのみ): 部分的にホワイトバランスを調整できます。 色温度を上げるにはスライダを上に、下げるには下に動かします。
- 色相* (RAW ファイルのみ): 色温度の調整後に、シャドウ部で色かぶりが発生した場合に補正できます。 マゼンタで補正する場合にはスライダを上に動かし、グリーンで補正する場合は下に動かします。
- 色相 (HSL): 選択したカラーチャネルの色相を変更します。
色温度と色相のスライダは、青色のボタンで表示され (他の要素は黒色で表示)、全体的なホワイトバランスを考慮します。 四角の上にマウスカーソルを動かすことで、値を確認できます (色温度は「K」、色相は「-200 から +200」の範囲で表示)。
[ディテール] のグループ(左から右に):
- シャープネス: 補正マスクのシャープネスを調整します。 補正結果を画面上で確認するには、最低でもズーム率 75% で表示してください。
- ブラー: ブラー効果を適用します。 ブラー効果を強めるにはスライダを上に動かし、弱めるには下に動かします (ブラー効果スライダは、0 から下には移動できません)。
特定の補正を行う場合、補正中のスライダのみが表示され、イコライザーは一時的に表示されなくなります。 選択した設定を調整するには、以下の方法で行います。
- スライダの上をクリックして、マウスカーソルを縦方向に動かします (強める場合は上、弱める場合は下)。 設定レベルは青色のバーで表示され、マウスカーソルを動かすとフローティングパッドに数値が示されます。
- より正確な補正を行うには (PC のみ)、スライダをクリックして、マウスを横方向に移動します。これにより、補正と対応するデジタル値の表示をスローダウンすることができます。
水平線は設定の中央値を意味します。 イコライザーの補正全体をリセットするには、右側の丸い矢印をクリックします。 特定の設定をリセットするには、スライダ上でダブルクリックします。
修正作業や補正・調整の確認にイコライザーが邪魔になる場合、キーボードの [E] キー (PC) / [Shift] + [E] キー (Mac) で非表示にすることができます。同じキーを再び押すと再表示できます。
ツールバー (Mac)
部分調整をアクティブにすると、選択したツールに応じて、画像の下にあるツールバーに一定のオプションが表示されます。
- ブラシ / 自動マスク / 消しゴム設定を表示する: ブラシの調整もできるウィンドウが画像の左下に表示されます。
- コントロールポイント / コントロールラインを追加する: アクティブなマスクにコントロールポイントまたはコントロールラインを追加できます。
- 領域を保護する: 保護用のコントロールポイントまたはコントロールラインを追加し、他のコントロールポイントやコントロールラインに調整されないようにします。
- クロップなしで表示する: リフレーミングした画像全体を表示できます (次の段落をご覧ください)。
- マスクを表示する: コントロールポイントまたはコントロールラインのモノクロマスクの表示をアクティブまたは非アクティブにします。
- 新しいマスク: 新しいマスクを作成できます (それから、円形フィルタで希望するツールを選択できます)。
- リセット: すべての部分調整をワンクリックでキャンセルします。
- 閉じる: 部分調整ツールを離れます。
クロップなしで表示する
[クロップなしで表示する] オプションでは、クロップした画像全体を表示できます。必要な場合にはマスク (ブラシ、コントロールポイント、段階フィルタなど) を配置したり、フレーム外でコントロールラインのカラーピッカーを使ってサンプリングすることもできます。 以下の方法で有効にします。
- Mac: 画像の下の部分調整ツールバーで、[クロップなしで表示する] オプションにチェックマークを入れます。
- PC: 右上のフローティングボックスで [クロップした領域を表示する] オプションにチェックマークを入れます (フローティングボックスを表示するには、画像にマウスを合わせます)。
フレーム外の領域は、半透明の暗いマスクで表示されます。
部分調整あり / なしの画像の比較
DxO PhotoLab の参照画像ツールを使うと、部分調整あり / なしの画像を比較できます。 この機能を使うと、画像上で部分調整の影響を評価したり、必要な場合は補正を元に戻したり、作業を続けたりできます。
部分調整あり/なしの画像は、以下の手順で比較できます。
- 部分調整がアクティブである必要があります。
- 上部ツールバーで [参照画像] ボタンの矢印をクリックし、コンテキストメニューで [部分調整修正以外のすべての修正] を選択します。
- 上部のツールバーの [部分調整なし/ありの画像を交互に表示] から、 [比較する] ボタンをクリックして離します。
比較を終了するには、参照画像に戻り、[部分調整修正以外のすべての修正] のチェックマークを外します。
ブラシ
ブラシを使うタイミング
ブラシはマスクの一種で、マウスで色を塗るだけで画像の一部をレタッチできます。また、あらゆる種類のポインティングデバイス (タッチ画面、トラックパッド等) を使うことができます。
このツールを使うと、たとえば、逆光の被写体を明るくしたり、花の色を強調したり、モデルの目のシャープネスを高めたりできます。ブラシは、全体に塗ったり (一続きのシルエットを明るくする)、部分部分に塗る (モデルの目を一つずつ際立たせる) こともでき、その適用の可能性に限りはありません。
また、1 枚の画像に複数のブラシマスクを作成することもできます。
ブラシの有効化
ブラシを有効にするには、上部ツールバーから [部分調整] ボタンをクリックします。次に、画像の上で右クリックをしてリングメニューを表示し、ブラシを選択します。
部分調整が有効になると、キーボードショートカットの [Shift] + B で 他のツールからブラシツールに切り替えることができます。
ブラシの使い方
ブラシは、ブラシのアイコンのついた青色の円で表示されます。 レタッチしたい画像部分をクリックすると、アクティブな円とイコライザーが表示されます。 この段階では、塗り続けて後で設定を調整することも、まず設定を調整して後で画像を塗ることも可能です。
もちろん、イコライザーで利用できる複数の設定を組み合わせることもできます。たとえば、ある被写体を明るくしながら、その被写体のシャープネスやマイクロコントラストを強調することもできます。
- ブラシサイズは、[Ctrl] (PC) / [Cmd] (Mac) キーとマウスホイールを組み合わせて調整できます。サイズを大きくするには前方向に、小さくするには後ろ方向にホイールを動かします。
- ぼかし (ブラシの縁のぼかし) を設定するには、[Shift] キーとマウスホイールを組み合わせます。はっきりした輪郭にするには前方向に、よりぼやけた輪郭にするには後ろ方向に回します。
- [不透明度] では、色を塗る領域の最大不透明度 (または透明度) のレベルを定義できます。 不透明度が 100 %に設定されている場合、その選択領域は完全に不透明になり、部分調整は 100 %適用されます。
不透明度が 50 %に設定されている場合、ブラシを使って 50 %以上の不透明度に塗ることはできず、部分調整は 50 %しか適用されません。 - [適用比率] では、ブラシのストロークごとに適用される「絵の具」の量を定義できます。 適用比率が 100 %に設定されている場合、ブラシを 1 回ストロークするだけで、事前に定義した最大の不透明度を実現できます。
適用比率が 13 %に設定されている場合、1 回目のブラシストロークは最大不透明度の 13 %を適用し、 2 回目のブラシストロークを同じ領域に行うと、さらに 13 %が追加適用されます。この操作は設定された最大不透明度に達するまで続けることができます。
塗る際には、レタッチ作業を進めやすくするためにブラシを動かした場所に青色のマスクが描かれます。
精度を上げたり、エッジに沿って塗る場合は、画像をズームインして作業してください。 ブラシで塗らない時は、画像の下のツールバーから [選択したマスクを表示] のチェックマークボタンを使って、青色のマスク表示を有効 / 無効にできます (Mac のみ)。
マスクの作成と管理
異なる対象をレタッチしたり、飛び飛びに塗るために、必要な数だけマスクを作成できます。 また、レタッチの範囲を重ねることもできます。
新しいブラシマスクを作成するには、実行中のマスクの円の中をクリックして選択を解除します。 次に、[+] マークのついた青色の円を希望の場所に動かしクリックします。これで新しいアクティブなマスクが作成され、ブラシでマスクの範囲を塗ったり、調整を行ったりできます。 ブラシマスクは画像内で移動できます。 そのためには、移動するマスクの円をクリックしてマスクを自動で有効にし、マウスボタンを押し続けます。
マスクを削除したい場合、マスクをアクティブにして、キーボードの [Return] キー (Mac) または [Delete] キー (PC) を押してください。
輪郭からはみ出した場合や、失敗を修正したい場合、[Alt] キー (PC) または [Option] キー (Mac) を押して消しゴムを有効にし、アクティブなマスク上で消しゴムを動かしてください。 消しゴムで消す場所を確認するには、青色のマスクを参考にしてください。 消しゴムのサイズとぼかしは調整することもできます。
ブラシモードに戻るには、[Alt / Option] キーを離してください。
自動マスク
自動マスクを使うと、明るさ、コントラストや色の違いで定義されたエッジをはみ出ることなく、画像の正確な領域内で補正対象を塗ったり、補正を適用したりできます。
使い方はブラシの使い方によく似ています。ただし、エッジの自動検出はブラシとは異なる機能です。 補正はエッジ内部だけに適用されるため、はみ出しても問題ありません。
自動マスクの使い方
具体的な使用ケースとしては、たとえば、背景の中で際立っている車の色を変える場合が考えられます。 自動マ スクは、明確な被写体や要素の上で特に威力を発揮します。 空の調子を変えるには、コントロールポイントか段階フィルタを使います。
自動マスクの有効化
上部のツールバーから [部分調整] ボタンをクリックした後、画像の上で右クリックします。次に、リングメニューから[自動マスク] をクリックします。 画像に他の部分調整マスクが使われている場合でも、自動マスクを使うことができます。
部分調整が有効になると、キーボードショートカット [Shift] + [A] で他のツールから自動マスクに切り替えることができます。
自動マスクの使用
有効にすると、自動マスクはブラシのように見えます (中央に [+] マークのある青色の円)。
画像をクリックすると、青色の「A」というラベルがついたブラシを含む、マスクの円が貼り付けられます。 青色の縁は、アクティブなマスクであることを示します。
次に、補正する領域や要素に色を塗ります (塗る前/後にイコライザーの設定を行うことができます)。
連続してクリックして、ブラシストロークを適用することもできます。 ある要素からはみ出した場合でも、補正はエッジ内部に制限されます。 要素からはみ出した場合、特にレタッチする要素の一部が画像の他の要素と混じり合っている場合、[Alt] + クリック (PC)、または [Option] +クリック (Mac) ショートカットキーを使って、消しゴムを有効にしてください。
質感のある要素の場合、完全にカバーすることはできません。その場合、ブラシをかけてください。
外側の円 (水色) は、エッジを検出します。
左から右へ : オートマスクプロット / エッジ検出 / マスク表示 / 実際にアクティブなマスク (表示されない)。
ブラシのサイズは、[Ctrl] (PC) または [Cmd] (Mac) キーとマウスホイールとを組み合わせて調整できます。
アクティブなマスクを表示するには、画像の下のツールバーから [選択したマスクオーバーレイを表示] にチェックマークを付けてください。
ただし、自動マスクのブラシにぼかし機能は含まれません。
自動マスクの管理
自動マスクを削除するには、円の上でクリックして自動マスクを有効にし、[Return] キーを押してください。 別の自動マスクを作成する必要がある場合、円の上でクリックしてアクティブなマスクの選択を解除し、画像内の任意の場所をクリックしてください。
また、ブラシと同じように、円をマウスでホールドして (有効にするには円をクリックします)、画像の中で自動マスクを移動させることができます。
コントロール ポイント
DxO PhotoLab では、コントロールポイントを使用できます。
コントロールポイントは、非常に特長的な機能を持った部分調整ツールです。ユーザーが画像の上をクリックしてコントロー ルポイントを設定すると、コントロールポイントのピクセルの明度、コントラスト、色調を考慮し、ユーザーが定義した範囲 内で、同じ特徴を持ったピクセルにその補正を適用します。
簡単な例をあげてみましょう。コントロールポイントを、別の背景の前にある赤いマグカップの上に置き、マグカップを囲むように範囲を調整した場合、赤いマグカップの上にだけ補正が適用され、背景にはみ出ることはありません。
画像の中によく似た赤色の別の被写体があった場合でも、その被写体がユーザーの定義する範囲に入っていなければ、補正が適用されることはありません。 ただし、ユーザーが赤い被写体を範囲内に入れた場合、赤い被写体には赤いマグカップと同じ補正が適用されます。 この被写体に別のコントロールポイントを適用した場合、1 つ目のコントロールポイントとは別に補正が行われます。
コントロールポイントの使い方
コントロールポイントを使うと、ツールのアクション範囲で定義した領域に選択的補正を行うことができます。その場合、アクション範囲の外側にあり、コントロールポイントがカバーするピクセルと異なる特徴のピクセル部分に影響を与えることはありません。
コントロールポイントとコントロールラインは、同じマスク内で組み合わせて使用することができます。
これは、コントロールポイントとラインの保護にも適用されます。
コントロールポイントの有効化
その他の部分調整と同じく、まず上部のツールバーから [部分調整] ボタンをクリックします。次に、画像の上で右クリックして、リングメニューを表示します。 次に [コントロールポイント] のアイコンをクリックします。
部分調整の作業中の場合、画像を右クリックしてリングメニューを表示し、コントロールポイントを選択します。 コントロールポイントは、必要な数だけ適用することができます。コントロールポイントは、部分調整の他のマスクが適用されている画像内でも使うことができます。
部分調整が有効になると、キーボードショートカット [Shift] + [C] で他のツールからコントロールポイントに切り替えることができます。
コントロールポイントの使用
マスクを有効にした後、マウスのカーソルを画像の上で動かすと、カーソルが [+] に変わります。 画像の補正したい領域や被写体の上でクリックします。コントロールポイントは中心部に [+] マークのついた円で表示され、周りにはより半径の長い円が表示されます。 ここでも、青色の縁のある円はコントロールポイントがアクティブであることを示しています。
画像の複数の場所に同じ補正を適用するために、コントロールポイント同士を結びつけることができます。 そのためには、アクティブなコントロールポイントを使い、画像上で好きな回数クリックしてください。 二次コントロールポイントはシンプルな十字線とアクション範囲の円で表されます。それぞれのコントロールポイントは別々に設定できます。 イコライザーで必要な調整を行ってください。 調整はコントロールポイント全体、つまり、一次コントロールポイントとすべての二次コントロールポイントに適用されます。
ただし、異なる調整を適用するには、そのたびに新しいコントロールポイントを作成する必要があります。
外側の円をマウスで掴んでコントロールポイントのアクション範囲を調整し、イコライザーで必要な調整を行ってください。
コントロールポイントの移動
中央の円形をマウスで動かし、コントロールポイントを自由に移動することができます。
グレースケールでのマスクの表示
アクティブなコントロールポイントで実行した補正や調整をわかりやすく表示するには、[M] キー (Pc) または [Shift] + [M] キー (Mac) でグレースケールのマスクをアクティブにします。
マスクをアクティブにすると、対象範囲のコンテンツがモノクロで表示されます。補正により最も影響を受ける領域や項目は白、影響を受けない部分は黒で表示され、異なる色調のグレーは、異なる程度の影響を受けた領域を示します。 これにより、コントロールポイントで適用した補正を非常に正確に確認してコントロールすることが可能になります。
画像の一部の保護
保護用のコントロールポイントを適用すると、他のコントロールポイントが画像の一部に調整を適用しないように保護できます。 画像の下部のツールバーで[-] マークの入ったコントロールポイントのアイコンをクリックし、希望する場所をクリックしてコントロールポイントを配置します。 イコライザーで調整を実行します。 調整は、保護された領域には適用されません。
また、1 つ以上のコントロールポイントとコントロールライン 1 本を組み合わせることもできます。
コントロールライン
コントロールラインの原則は、コントロールポイントと同じです。また、ある意味段階フィルタの原則も踏襲し、画像の幅全体をカバーできるというメリットもあります。 ピクセルの分析は、コントロールポイントではなく、カラーピッカーを使って分析します。カラーピッカーはマスクのあらゆる場所に配置でき、調整する部分を選択できます。
例としては、雲のある青空の調整が考えられます。 コントロールポイントを使うと、十分な範囲をカバーするために複数のコントロールポイントを配置し、調整が均一になるようにコントロールポイントをグループ化する必要があります。 コントロールラインを使うと、空全体をカバーするためにラインを引き、参照ピッカーを使って青空をクリックすると、修正を画像のこの部分だけに均一に適用できます。
コントロールラインの有効化
まず、上部ツールバーで [部分調整] ボタンをクリックしてから、画像を右クリックしてリングメニューを表示します。 コントロールラインのアイコンをクリックします。
部分調整の作業中の場合、画像を右クリックしてリングメニューを表示し、コントロールラインを選択します。 コントロールラインは好きな数だけ適用でき、他の部分調整マスクと組み合わせることもできます (消しゴムは除く)。
コントロールラインの使用
リングメニューでコントロールラインを有効にしたら、画像の上で動かします。 マウスポインタが [+] の形になり、調整する画像部分をカバーするようにコントロールラインを動かします。 コントロールラインは 2 本の点線の間に位置し、下のラインは調整領域のサイズを増減するために傾けたり移動したりできます。
円形の近くにあるカラーピッカーを使って参照ゾーンを選択します。マウスでカラーピッカーをドラッグし、画像の好きな場所に配置します。 あとは、イコライザーを使って調整を実行するだけです。
コントロールラインの移動
コントロールラインの円形をつかみ、コントロールラインを移動できます。 カラーピッカーを他の場所に置いた場合でも、Ctrl (PC) または Cmd (Mac) キーを押すと、カラーピッカーも同時に移動できます。
グレーマスクの表示
アクティブなコントロールラインを使って実行した補正や調整をわかりやすく表示するには、グレーレベルマスクを使用します。グレーマスクは、 [M] キー (Pc) または [Shift] + [M] キー (Mac) を使うか、画像下部の [マスクを表示する] にチェックマークを付けてアクティブにすることができます。
白い領域は最大限の補正レベル、黒い領域は補正されていない領域、グレーのバリエーションは適用した補正の強さを表します。 これにより、参照ゾーンとコントロールラインを使って適用した補正を確認し、非常に高い精度でコントロールできます。
画像の一部の保護
コントロールポイントと同じように、保護用のコントロールラインを適用し、他のコントロールラインが画像の一部に調整を適用しないように保護できます。 保護するには、画像の下部のツールバーで [-] マークの入ったコントロールラインのアイコンをクリックし、画像上でラインを引いて、カラーピッカーで保護する参照領域のサンプリングを行います。 次に、イコライザーで調整を実行します。調整は、保護された領域には適用されません。
また、1 つ以上のコントロールポイントとコントロールライン 1 本を組み合わせることもできます。
段階フィルタ
段階フィルタの使い方
段階フィルタは、レンズの前に配置する光学フィルターをシミュレートします。特に、風景写真の露光バランスを取ったり、空と地面の明るさの間の、大きなコントラストを低減したりする目的で使用されます。
段階フィルタの有効化
段階フィルタを有効にするには、上部のツールバーから [部分調整] ボタンをクリックします。 次に、画像を右クリックしてリングメニューを表示し、段階フィルタのアイコンをクリックします。
部分調整が有効になると、キーボードショートカット [Shift] + [G] で他のツールから段階フィルタに切り替えることができます。
段階フィルタの適用
段階フィルタが有効になると、マウスポインターの形が [+] (Mac) /水平階層のアイコン (PC) に変わります。 マウスカーソルを画像の上部に置き、マウスを下に向けて動かします。
段階フィルタは次の要素で構成されています。
- マスクの円を通る実線。この実線は、段階フィルタの出発点に対応しています。
- 点線のセンターライン。マスクの中心を示す点があり、回転させることができます。
- 透明な青色のぼかしマスク。効果がどのように適用され、どのように分布するかを示します。
イコライザーのスライダを使って補正します。 同じ場所に、それぞれ調整度合いの違う複数の段階フィルタを重ねたり、単に同じ段階フィルタ内で複数の補正を組み合わせることもできます。
段階フィルタの管理
- 段階フィルタは画像上のどこにでも移動できます。
- 点線上の円をマウスで抑えながら傾けることもできます。
- 効果の最大適用領域を広げたり、狭めたりするために、点線は二方向に移動できます。
- 効果が増大する領域を調整するために、実線も同様に二方向に移動できます。
- 段階フィルタは、どの方向にでもかけることができます (上から、下から、横から、斜め)。
- もちろん、1 つの画像に複数の段階フィルタを作成することもできます。
- 段階フィルタを回転させるには、点線のインジケータをクリック&ホールドして、マウスを使って回転させます。 フィルタは 360° 回転させることができます。 PC 版では、[Ctrl] キーを押しながら、90°、180°、270°、0°/360°の順に動かすことができます。
- 段階フィルタのマスクを移動したり、変更した場合、補正はリアルタイムで表示されます。
- 段階フィルタを削除したい場合、マスクの円形をクリックして段階フィルタを有効にして、キーボードの [Return] キー (Mac) または [Delete] キー (PC) を押してください。
画像の一部を段階フィルタの補正から保護
ある画像に段階フィルタを適用する場合、たとえば、空を暗くしたり強調したりしたい場合、その効果を地面の上の他の要素 (建物、レリーフ、彫像など) には 適用したくない場合もあります。
その場合、対象外にしたい要素から段階フィルタ効果を低減するために、消しゴムを使うことができます。
消しゴムを使い終わったら、画像の上で右クリックし、リングメニューから段階フィルタをクリックすると、アクティブな段階フィルタに戻ることができます。
消しゴム
消しゴムは、部分調整機能の中でも欠かすことができないツールです。 ブラシや自動マスクではみ出した場合に失敗をやり直したり、きめ細かな部分調整をすることができます。 選択したマスクの種類によっては、補正を追加したり低減したりできます。
注: 他の部分調整ツールと消しゴムを一緒に使うケースについては、関連セクションを参照してください
消しゴムの有効化
消しゴムを有効にするには、2 つの方法があります。
- リングメニューから消しゴムを選択します。
- ブラシと自動マスクを使う時に、[Alt] (PC) または [Option] (Mac) キーを押します (関連セクションを参照してください)。
1 つ目の方法では、マウスカーソルが消しゴムの形になります。 サイズは、[Ctrl] (PC) 、または [Cmd] (Mac) キーとマウスホイールを組み合わせて調整できます。また、[Shift] キーとマウスホイールを組み合わせて、ぼかしを調整できます。
消しゴムの使い方
円の上をクリックして、マスクを選択します。 どこを消しゴムで消すかよく確認するために、画像の下のツールバーで [選択したマスクオーバーレイを表示] にチェックマークを付け、青色のマスク表示を有効にします。
補正または作業をしたい部分調整の上で消しゴムを動かします。 間違えて補正を消してしまった場合、[Alt] (PC)、または [Option] (Mac) キーを押しながらクリックすると、一時的に [ブラシストロークを追加する] に移り、補正を復元することができます。 こうすることで調整を復元でき、変更したい場合は、イコライザーから調整を変更することができます。
別のマスクで消しゴムを使うには、アクティブなマスクを非アクティブにし (円の中をクリック)、別のマスクをアクティ ブにします (円の中をクリックすると青色の縁が表示)。
注意: 消しゴムは、ブラシと自動マスク機能で作業中、いつでも使うことができます。[Alt] (PC) または [Option] (Mac) キーを押してください。